【極東ロシアが舞台の小説】ウラジオストク、サハリン、カムチャッカなど

ウラジオストク小説

広大なロシアの極東にも様々な都市、地域があります。

軍港として有名なウラジオストク、ハバロフスク、バイカル湖畔のイルクーツク、旧樺太も含まれるサハリン、カムチャッカ半島など。

そんな極東ロシアが舞台になっている小説をまとめました。

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カムチャッカ半島が舞台の小説

「消失の惑星(ほし)」 ジュリア・フィリップス(著)

消失の惑星(ほし)
早川書房
発売日:2021/2/17

2022年(第2回)みんなのつぶやき文学賞【海外編】第1位

全米図書賞最終候補作

無さそうで全く無かったカムチャッカ半島が舞台の貴重な1冊です。

カムチャッカの美しい情景と風土、風習、文化が盛り込まれた小説

13章からなるカムチャッカ半島に生きるそれぞれの人々の物語。

 

ウラジオストクが舞台の小説

「女性外交官ロシア特命SARA」 麻生 幾(著)

ロシアのズベズダ事業(世界大戦で何百とつくった原子力潜水艦解体)を絡めたサスペンス。

ウラジオストクの描写が良かったです。

原子力問題も原発だけを見ていたんでは駄目なんだと感じました。

 

「〈ミリオンカ〉の女 うらじおすとく花暦」 高城 高

悪漢時代小説(ピカレスクロマン)

日本から最も近いヨーロッパとして知られるウラジオストクが舞台の小説。

ロシア人・中国人・朝鮮人・日本人の雑居地だった明治時代の港町ウラジオストクの描写



サハリンが舞台の小説

「サハリン脱走列車」 辻 真先(著)

サハリン脱走列車
講談社
発売日:1997/8/1

第二次大戦最後の戦場となった樺太の終戦間際の事情を絡めたミステリー

戦時中のサハリンや小樽(北海道北部)の状況もわかり、面白かったです。

アメリカを牽制しながらソ連に袋叩きにされる樺太は、玉音放送の8月15日の終戦から1週間遅れで終戦を迎えます。この間の日本の中で取り残された樺太(サハリン)置かれた状況や人々の様子なども

「辻真先」氏は、2019年に87歳で日本ミステリー文学大賞を受賞されました。

「このミステリがすごい!2021年版」では、「たかが殺人じゃないか」で国内部門第1位になっています。

 

「熱源」 川越 宗一(著)

熱源
文藝春秋
発売日:2022/7/6

[第162回] 直木賞 受賞作

樺太(サハリン)のアイヌをテーマにした歴史大作

樺太に生まれたアイヌのヤヨマネクフ。集団移住の後、天然痘やコレラで妻や友人達を亡くし、再び樺太に戻ることを目指す。リトアニアに生まれたブロニスワフ・ピウスツキは、ロシアで皇帝の暗殺計画に巻き込まれ、苦役囚として樺太に送られる。。文明を押し付けられた2人は樺太で出会い!?-

樺太で生きるアイヌの風俗や風土などが描かれている1冊。

 

「氷結の森」 熊谷 達也(著)

直木賞・山本賞ダブル受賞の「邂逅の森」に連なる3部作の完結編

樺太から間宮海峡を越え極東ロシアへ。

過酷な運命に立ち向かう男の長編冒険小説

 

「サハリン島」 エドゥアルド・ヴェルキン(著)

サハリン島
河出書房新社
発売日:2020/12/22

ここ10年で最高のロシアSF小説との声もあります。

サハリン(北緯50度線南部:旧樺太含む)が舞台の小説です。

 

「サハリン島」 チェーホフ(著)

ロシア文学を代表する劇作家によるサハリンの現地調査報告書

チェーホフは短編を多く残した小説家です。

日露戦争前の1890年、流刑地とされていたサハリンに滞在し記録を残しました。

 

「樺太脱獄記」 ウラジミール・コロレンコ(著)

古典的な名作になりますが、樺太(サハリン)が舞台となります。

Kindle(キンドル)で無料で読めるようになっています。

 

ノンフィクション本

小説ではなくノンフィクションの本ですが、「Yahoo!ニュース|本屋大賞 ノンフィクション本大賞」の最終候補作になっている「サガレン 樺太/サハリン 境界を旅する」もサハリンが舞台になっています。

 

樺太(サハリン)を見つけた間宮林蔵

間宮林蔵
講談社
発売日:2011/10/14

19世紀初頭、間宮林蔵は樺太調査に挑み、樺太が島であることを確認。

 

内容レビュー

「消失の惑星(ほし)」 ジュリア・フィリップス(著)

消失の惑星

レビュー

少女失踪という大きなテーマを軸にしているけど、ミステリー(謎解き)ではなく、それぞれの物語との関連性も高くはありません。

どちらかというと、カムチャッカ半島に住む人々のそれぞれの物語で純文学のような普通の小説という感じでした。

ただ、カムチャッカ半島を舞台にした貴重な小説という点、民族、文化、風土などカムチャッカをふんだんに味わえる内容が良かったです。 カムチャッカ半島

トナカイの肉を食生活に摂り入れていることやツンドラ、山脈で実際は繋がってる北部にいけない陸の孤島状態の地理、白人(スラヴ系)と先住民族との人種の関係性など。

「あとがき」なども含め、北部に暮らす先住民族(エウェン人、チュクチ人、コリヤーク人、アリュート人)とソ連の関係などもかいま見れます。

ペトロハヴロフスク・カムチャツキーよりさらに北のエッソやパラナなどの秘境出身の人の生活や事情、現地の声を聞けるような小説でした。