宗教小説のおすすめ作品をまとめています。
キリスト教(カトリック、プロテスタント)、ユダヤ教、イスラム教、隠れキリシタン、仏教などの宗教がテーマの小説です。
カルト教団などの新興宗教がテーマの小説も。
宗教関連の小説
「賢者ナータン」 レッシング(著)
寛容とはなにかを問う古典の名作
キリスト教、イスラム教、ユダヤ教のうち、真の宗教はどれか!?ーー
1192年の聖都・エルサレム。イスラム教国と十字軍との間で、一時的な停戦協定が結ばれていた。エルサレムの裕福な商人でユダヤ人のナータンが「三つの指環」の寓意で示した和合の道は、人々を奇蹟へ導く!?・・
「火の柱」 ケン・フォレット(著)
ケン・フォレットの最高傑作とも言われる歴史大河ロマン
英仏宗教戦争、激動の16世紀ーー
16世紀、イングランド。商業都市キングズブリッジで貿易を営むウィラード家は、カトリックでありながら、プロテスタントにも寛容な家柄だった。商売敵のフィッツジェラルド家は、頑なにカトリックで、両家の仲は良くなかった。やがて、ネッド・ウィラードは、エリザベス・チューダーの下で仕事をするようになる。折しも、エリザベス・チューダーは、メアリー・ステュアートとイングランドの王位を巡り、争いの最中だった。その争いは、フランス、スペインを巻き込む宗教戦争へ突入してき!?・・
「世界終末戦争」 マリオ バルガス=リョサ(著)
ノーベル文学賞作家の代表作
19世紀末、ブラジルの辺境で実際に起きた宗教戦争をテーマにした小説。
カヌードスの宗教共同体とブラジル共和国軍との戦い(カヌードス紛争)を下敷きにしたルポルタージュのような作品。
「オクシタニア」 佐藤 賢一(著)
直木賞作家の著者が描く本格西洋歴史小説
宗教とは、生きるためのものか!?死ぬためのものなのか!?ーー
13世紀、南フランス。異端とされたカタリ派は、オクシタニア地域に繁栄を築いた。カタリ派は、アルビジョア十字軍をどう迎え撃つのか!?・・ 宗教弾圧をテーマに。
「十字軍物語」 塩野 七生(著)
歴史作家の巨匠が描く4巻からなるシリーズ
ローマ帝国が滅亡した中世。カトリック教会は、イェルサレムをイスラム教徒の支配下から奪還すべく、「十字軍」を結成する。中世最大の事件など、現代までとどろく真相に迫る歴史大作。
「喜べ、幸いなる魂よ」 佐藤 亜紀(著)
[第74回] 読売文学賞 受賞作
第3回(2023年)みんなのつぶやき文学賞【国内編】第1位
幼馴染み2人の愛の物語。現代的なテーマを含む歴史小説
18世紀ベルギー、フランドル地方の小都市シント・ヨリス。亜麻を扱う商家で育てられたヤネケとヤン。生涯単身を選んだ半聖半俗の女達が住む「ベギン会」に移り住む。。ヤンは、ヤネケと家庭を築くことを願い続けるが、やがてフランス革命の余波が及び!?・・
「修道師と死」 メシャ・セリモヴィッチ(著)
オスマン帝国支配下のボスニアが舞台の小説
信仰の道を静かに歩む修道師の〈私〉は、イスラム教のスーフィー、アフメド・ヌルディン。宗教的な話を人々に説いていた。しかし、ある不可解な事件の報で、彼の世界は変容を遂げる。修道師は孤独な闘いを続けるが!?・・
「スモモの木の啓示」 ショクーフェ・アーザル(著)
亡命イラン人作家の魔術的リアリズムの傑作
13歳の末娘・バハールの目を通し、イスラーム革命に翻弄される一家の姿とは!?--
1988年、村を見下ろす丘のスモモの木の上で、母さんは啓示を受けた。その時、兄さんのソフラーブは、絞首刑になった。遡ること9年、イスラム革命の最中、テヘランの私たち一家は、熱狂した革命支持者たちに家に火をつけられ、外界から隔絶された村ラーザーンにたどり着く。そこは、1400年前、アラブ人の来襲から逃れたゾロアスター教徒(世界最古の宗教)が隠れ住んだ土地だった・・ 「千一夜物語」的な挿話を含みつつ。
隠れキリシタン
「沈黙」 遠藤 周作(著)
第2回(1966年)谷崎潤一郎賞 受賞作
隠れキリシタンを描いたキリスト教文学の最高峰
日本の史実、歴史文書にもとづいた歴史小説。2016年には「沈黙 -サイレンス-」という題名で、マーティン・スコセッシ監督により、映画化もされました。
島原の乱が鎮圧され間もない頃、ポルトガル人司祭のロドリゴは、キリシタン禁制の日本に潜入する。そこで見たのは、日本人信徒達への拷問と悲惨な状況。やがて、ロドリゴも背教の淵に立たされるが!?・・
「パシヨン」 川越 宗一(著)
第18回 中央公論文芸賞 受賞作
「最後の日本人司祭」小西マンショの人生を描く。
キリスト教が禁じられている禁教下の日本が舞台の歴史小説
キリシタン大名の孫で、対馬藩主の子として生まれた彦七。キリシタンへの迫害から逃れ、母・マリヤと共に、長崎へ行く。しかし、彼には、小西家復興の重圧がのしかかり!?・・
仏教文学・仏教小説
「王舎城の悲劇:物語で読む浄土真宗」 向谷 匡史(著)
浄土真宗の根本思想が浮かび上がる仏教小説
古代インドで起きた事件「王舎城の悲劇」。息子が父の王位を奪うという2500年前の事件。「観無量寿経」や「華厳経」などの仏教経典、ジャイナ教の経典にも出てくる事件。なぜ父を殺してまで王位を奪おうとしたのか!?・・ お釈迦さんや悪役僧侶のダイバダッタ(提婆達多)も登場。
「蜘蛛の糸」 芥川龍之介(著)
児童向け名作短篇8篇
仏教的なテーマを背景に人間の犠牲や救済を描いた物語
極楽にいるお釈迦様は、1人で池の淵を歩いていた。お釈迦様は、池に生えている蓮の間から水の底をのぞき込む。すると、地獄の様子が見え、生前の悪行で地獄に落ちた犍陀多(カンダタ)の姿が見える。お釈迦様は、カンダタを救ってやろうと蜘蛛の糸を垂らすが!?「蜘蛛の糸」
新興宗教(カルト教団)小説
「教団X」 中村 文則(著)
「アメトーーク!」読書芸人でも紹介された大ベストセラー
自分の前から姿を消した女性を探し、楢崎が辿り着いたのは、宗教団体、彼らと敵対する性の解放を謳う謎のカルト教団だった。悦楽と革命への誘惑。4人の男女の運命が絡み、教団は暴走する。宗教、セックス、テロ、貧困。神とは何か!? 運命とは何か!?・・ 今の世界を丸ごと詰め込んだ人間ドラマ。
「邪宗門」 高橋 和巳(著)
昭和初期。戦時下の弾圧で壊滅し、戦後復活した「教団」。新興宗教団体の物語。「邪宗」としての弾圧と復興は大きなうねりとなり、突き進むーー
「ひのもと救霊会」は、実在の大本教をモチーフにしているそうです。
「名探偵のいけにえ:人民教会殺人事件」 白井 智之(著)
[2023年版] このミステリがすごい!【国内編】第2位
カルト宗教絡みの謎解きミステリ
1978年、南米ガイアナで起きた人民寺院事件をモデルした推理小説。
密室推理など、連続殺人のミステリとどんでん返し。ガイアナ共和国のジョーデンタウンでの滞在日数ごとに進む物語。
「猫のゆりかご」 カート・ヴォネガット・ジュニア(著)
巨匠、カート・ヴォネガットの描く宗教絡みの小説
世界の終末を描いたSF長編
ジョーナは、キリスト教徒だった頃、「世界が終末をむかえた日」の執筆準備に取り掛かった。今、わたしは、プエルト・リコ沖のサン・ロレンゾ島で禁断のボコノン教を奉じている。ボコノン教に入信したきっかけは、未完の大作「世界が終末をむかえた日」なのだった・・
「アルパートンの天使たち」 ジャニス・ハレット(著)
「ボビーのためにできること」で、CWA新人賞やこのミステリがすごい!2023年版【海外編】第3位を受賞した作家の最新作
カルト教団絡みのミステリー
2003年、ロンドン北西部の廃倉庫。カルト教団「アルパートンの天使」の信者が数人遺体で見つかる。アルパートンの天使は、自分たちが人間の姿をした天使だと信じている。事件から18年。集団自殺事件の隠蔽されてきた真相を、犯罪ノンフィクション作家の取材記録が炙り出す!ーー
「星の子」 今村 夏子(著)
野間文芸新人賞 受賞作
芥川賞作家の20万部ベストセラー
中学3年生の林ちひろ。病弱だった娘を救いたい一心で、両親は「あやしい宗教」にのめり込む。しかし、姉は両親に反発し、家出をする。そして、その信仰が家族の形を歪めていくが!?・・
「侍女の物語」 マーガレット・アトウッド(著)
カナダ総督文学賞
[1987年] アーサー・C・クラーク賞 受賞作
宗教国家であるギレアデ共和国。女性が子供を産むための道具として支配者層に仕える「侍女」制度が敷かれていた。侍女・オブフレッドは、配属先の邸宅の主の司令官の子を産むことが役目だったが!?・・
宗教関連ミステリー
「水の戒律」 フェイ・ケラーマン(著)
マカヴィティ賞【最優秀処女長編賞】受賞作
ユダヤ教の文化を描いたミステリー
アメリカのユダヤ教正統派のコミュニティ。夜遅く洗濯機を回していたリナは、不審な悲鳴を耳にある。表で彼女が見たものは、服を引き裂かれ泥だらけで横たわる友人・サラの姿だった・・ 敬虔なユダヤ人コミュニティを襲ったレイプ事件ーー
「わたしの名は赤」 オルハン・パムク(著)
イスラムの細密画を絡めた歴史ミステリ小説
トルコのノーベル文学賞作家の名著
偶像崇拝を禁止されているイスラム教の細密画で、人物画を描くということに対する考え方、価値観などの宗教観を感じることができました。
戯曲なども絡めていて、様々なことが勉強になります。1人1人の人物が章ごとに主人公として、主観で語られていく構成も小説として面白かったです。
オスマン帝国時代の東西文明交錯するイスタンブールならではの文学性を感じられる1冊。
「マギの聖骨」 ジェームズ・ロリンズ(著)
全米100万部のベストセラー
ヨハネの黙示録、死者の書、グノーシス派、聖ペテロの墓、アレクサンダー大王、ファロス島の灯台、マナ、ダイダロスの迷宮、歴史的事実に隠された秘密とは!?ーー
ドイツのケルン大聖堂。ミサの最中に、修道服姿の侵入者たちが出席者と司祭を斬殺した。犯人の目的は、キリストの聖誕を祝いに訪れた東方の三博士の聖骨〈マギの聖骨〉だった。ヴァチカンは、ローマの国防省警察に所属するレイチェル・ヴェローナ中尉に調査を依頼するが!?・・
「ダ・ヴィンチ・コード」 ダン・ブラウン(著)
ベストセラーの名作
ルーブル美術館のソニエール館長が死体で発見される。死体は、ダ・ヴィンチの最も有名な素描〈ウィトルウィウス的人体図〉を模した形で横たわっていた。。館長と会う約束をしていたハーヴァード大学教授ラングドンは、捜査協力を求められ!?--
「薔薇の名前」 ウンベルト・エーコ(著)
このミステリーがすごい!1991年版【海外編】第1位
中世の北イタリアの山地、修道院の図書館を舞台にしたミステリー
言わずと知れたウンベルト・エーコの名作で、映画化もされています。
「人面島」 中山 七里(著)
隠れキリシタンの孤島で起きる密室殺人ミステリー
隠れキリシタン&埋蔵金伝説のある島で、遺産を巡り様々な事件が勃発ーー
相続鑑定士の三津木六兵が派遣されたのは、長崎の通称「人面島」。村長の鴇川行平が死亡したため、財産の鑑定を行うことになった。この島は、現在でも隠れキリシタンが住み、しかも、平戸藩が隠した財宝が眠っているらしい。そんな折、神社の宮司の孫・匠太郎が密室の祈祷所で、死んでいる状態で発見される。六兵は調査を進めるが、鴇川家にも複雑な事情があり!?・・