マジック(魔術的)リアリズムの手法を使った小説をまとめています。
南米(ラテン)アメリカに多い文学の形式ですが、南米以外にも多くのマジックリアリズム小説があります。
そんな、リアマジックリズム小説のおすすめ作品を掲載しています。
魔術的(マジック)リアリズムとは!?
魔術的(マジック)リアリズム小説とは、非現実(魔術)と現実(リアリズム)が融合した作品に対して使われる芸術表現技法です。
日常的、現実的な表現の中に、自然形式で魔術的(寓話的、幻想的、神話)な要素を入れる手法となります。
例えば、独裁などの歴史的事実と架空の村を舞台とした内容が混在しているような小説などがあります。
ドキュメンタリーではありませんが、限りなく現実(日常)にのっとった内容で、ためになる歴史小説などがあります。
幻想的リアリズム、魔法的現実主義と呼ばれることもあります。
「魔術的リアリズム:20世紀のラテンアメリカ小説」という書籍もおすすめなので、掲載しておきます。
過去にラテンアメリカ文学ブームがありました。
南米(ラテンアメリカ)文学には、マジックリアリズム(魔術的リアリズム)小説が多いのも事実ですが、南米以外にもこの表現手法を使った小説が多くあります。
南米(ラテン)アメリカのマジック・リアリズム小説
「百年の孤独」 ガブリエル・ガルシア=マルケス(著)
ノーベル文学賞作家の不朽の名作
2024年、文庫化され、話題になった世界的ベストセラー
世界文学屈指の名著、46の言語に翻訳され、5000万部発行。「マジック・リアリズム」というキーワードとともに、ラテンアメリカ文学ブームを牽引したノーベル文学賞作家の名作が、文庫本で購入できます。
NETFLIX(ネットフリックス)で映像化済み
「この世の王国」 アレッホ・カルペンティエール(著)
マジック(魔術的)リアリズムの創始者とも言われる著者の傑作
ハイチ革命を黒人奴隷ティ・ノエルの視点から描いた物語。ヴードゥー教を背景に、フランス植民地のハイチの動乱と反乱の数十年。
「精霊たちの家」 イサベル・アジェンデ(著)
ガルシア=マルケス「百年の孤独」と並び称される、チリのマジックリアリズム作家の傑作
軍事クーデターで暗殺された叔父のアジェンデ大統領の時代に執筆された作品
精霊たちが飛び交う、大いなる愛と暴力に満ちた神話的世界。
美少女ローサの妹・クラーラは、姉の死から9年、姉のローサのかつての恋人・エステーバン・トゥルエバと婚約し、結婚生活を始めるが!?・・
「夜のみだらな鳥」 ホセ・ドノソ(著)
魔術的リアリズムの正当な後継者とも言われる作品
「百年の孤独」と双璧をなすラテンアメリカ文学の傑作とも言われています。
アルゼンチン作家のホセ・ドノソの入手困難な幻の名作が復刊されました。2018年の海外文学界で最大の出来事とも。
「汝、人の子よ」 アウグスト・ロア=バストス(著)
パラグアイが舞台のマジック・リアリズム文学
アウグスト・ロア=バストスは、パラグアイで最も名の知れた作家です。
パラグアイの戦争・反乱・独裁など歴史がわかる傑作。3国同盟戦争(ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイとの)、ボリビアとのチャコ戦争など、周辺諸国と紛争をくり返していた時代。
パラグアイ独立運動の指導者で初代元首ホセ・ガスパル・ロドリゲス・デ・フランシアの奴隷だった老人は語る・・
「悪魔の涎・追い求める男 他八篇:コルタサル短篇集」 フリオ・コルタサル(著)
アルゼンチン作家・コルサタルの代表作10篇を収録
魔術的リアリズムに近い作品 ー「南部高速道路」。現実と非現実が交錯する不可思議な世界が生まれるー「悪魔の涎」など..
中南米~カリブ海~米国のマジック・リアリズム小説
中南米文学
「グアテマラ伝説集」 ミゲル・アンヘル・アストゥリアス(著)
グアテマラのノーベル賞作家・アストゥリアスの傑作
《魔術的リアリズム》の先駆的代表作
マヤ神話、インディオ世界をもとに幻想的な民話集。「火山」の伝説、「大帽子男」の伝説、「花咲く地」の財宝の伝説、「春嵐の妖術師たち」など..
「アウラ/純な魂:他四篇 フエンテス短篇集」 カルロス・フエンテス(著)
メキシコの代表的作家フエンテスの不気味で幻想的な世界
新聞広告にひかれ、ドンセーレス街を訪ねた青年・フェリーペが、永遠に現在を生きるコンスエロ夫人のなかに迷い込む幽冥界神話ー「アウラ」、ヨーロッパ文明との遍歴からメキシコへの逃れようのない回帰を兄妹の愛に重ねて描くー「純な魂」など..
「言葉の守り人」 ホルヘ・ミゲル・ココム・ペッチ(著)
マヤ文学のリアマジックリズム
現代マヤ語文学を代表する作家の、神話の森を舞台に少年の成長を描く呪術的ファンタジー
「ぼく」は、祖父のグレゴリオおじいさんに呼ばれ、マヤの伝承の語り手たる「言葉の守り人」に選ばれた。夜ごとおじいさんに連れられ、神々と精霊たちが棲まう森へ、出かけるようになる。「ぼく」は、森の中で不思議な体験をしながら、おじいさんから「言葉の守り人」を継ぐための、世界と言葉のもつ秘密を少しずつ教わっていきーー
カリブ海の魔術的リアリズム
「マーメイド・オブ・ブラックコンチ」 モニーク・ロフェイ(著)
[2020年] 英国コスタ賞 受賞作
カリブ海地域のマジック(魔術的)リアリズム小説
カリブ海地域の70年代の混沌などを描いた傑作。マーガレット・アトウッドも絶賛。
1976年。カリブ海に浮かぶブラックコンチ島。漁師のデイヴィッドは、伝説の存在である人魚・アイカイアと出会い、惹かれていくが、島の釣り大会でアメリカ人親子がアイカイアを釣り上げてしまう!?・・
「オスカー・ワオの短く凄まじい人生」 ジュノ・ディアス(著)
ピュリツァー賞・全米批評家協会賞 ダブル受賞
オタク青春小説とラテンアメリカ文学のマジック・リアリズムの融合
オタク青年のオスカーは、ファンタジー小説やロールプレイング・ゲームに夢中。最大の悩みは、女の子にまったくモテないことだった。 息子の行く末を心配した母親は、彼を祖国・ドミニカへ送り込む。彼は、自分の一族が「フク」と呼ばれるカリブの呪いに囚われていることを知る。 ドミニカの独裁者・トゥルヒーリョの政権下で虐殺された祖父ら一族は、それぞれにフクをめぐる物語があり!?・・
アメリカ現代文学の新星
「歌え、葬られぬ者たちよ、歌え」 ジェスミン・ウォード(著)
[2017年] 全米図書賞 受賞作
全米図書賞を2度受賞した、アメリカ現代文学最重要の作家の作品
アメリカ南部、ミシシッピ州が舞台の小説。人種差別、貧困、ドラッグ、暴力など、米国の深部が見えてくる現代アメリカ文学。
マジック(魔術的)リアリズム的手法も含みながら・・
アフリカのマジック・リアリズム小説
「満たされぬ道」 ベン・オクリ(著)
[1991年] ブッカー賞 受賞作
ナイジェリアのアビク伝説をもとにしたマジックリアリズム
独立前のナイジェリアの貧民街が舞台。人間の世界に生まれては住み心地のいい天国のような故郷に戻っていく精霊の子供・アビク。その1人が、人間の世界で生きていこうと決心した・・
「やし酒飲み」 エイモス・チュツオーラ(著)
アフリカ文学の最高峰で、マジックリアリズムの傑作
ナイジェリア出身のチュツオーラの代表作で、1952年刊なので「百年の孤独」よりも前に書かれた作品です。
やし酒を飲むことしか能のない男が、死んだ自分専属のやし酒造りの名人を呼び戻すため「死者の町」へと旅に出るが!?・・
「小さきものたちのオーケストラ」 チゴズィエ・オビオマ(著)
2019年ブッカー賞最終候補作のマジックリアリズム
西欧の語りとナイジェリアのイボ神話が融合
ナイジェリアの貧しい養鶏家の青年・チノンソ。富裕層の女性と恋に落ち、彼女と結婚するため全財産をなげうってキプロスに向かうが!?・・ チノンソの守り神は、天界の法廷で神に、彼の人生を語りはじめるーー
ヨーロッパのマジック・リアリズム小説
ロシア文学
「巨匠とマルガリータ」 ブルガーコフ(著)
ロシアの文豪・ブルガーコフ代表作のマジックリアリズム
20世紀ロシア最大の奇想小説、物語のるつぼ
春のモスクワ。悪魔がモスクワの街を大混乱に陥らせる。首は転がり、黒猫はしゃべり、ルーブル札が雨と降る。「巨匠」と呼ばれる小説家の愛人・マルガリータの前に、悪魔が現れ!?・・
ドイツの作品
「ブリキの太鼓」 ギュンター・グラス(著)
ノーベル文学賞作家の魔術的リアリズム手法の作品
ドイツ文学の重要作で「ダンツィヒ三部作」のひとつ
3歳の時から成長が止まった小男・オスカル。その半生を太鼓にのせて語る死者のためのレクイエム。寓話的で、猥雑、怪奇のイメージの中で、悪のビートが鳴り響く。
チェコの文豪
「笑いと忘却の書」 ミラン・クンデラ(著)
チェコの文豪、ミラン・クンデラの変奏形式の連作短編集
〈笑いと権力〉〈記憶と忘却〉〈愛と孤独〉などがモチーフの7編の物語
精緻なモザイクのように織り上げられたクンデラ文学の原点。様々なエピソードが展開する哲学的な洞察と独特のユーモア。
イタリア作家
「木のぼり男爵」 イタロ・カルヴィーノ(著)
イタリア作家、イタロ・カルヴィーノの魔術的リアリズム作品
《我々の祖先》3部作のひとつ
「不在の騎士」「真っ二つの子爵」「木登り男爵」で、《我々の祖先》3部作です。
18世紀、イタリア。男爵家の長子・コジモは、12歳のある日、かたつむり料理を拒否し、樫の木に登り、一生を樹上で暮らすことになった。恋も冒険も革命も、全てが木の上という、奇想天外、波瀾万丈の物語。
ポルトガルの巨匠
「無のまなざし」 ジョセ・ルイス・ペイショット(著)
「ガルヴェイアスの犬」で日本翻訳大賞も受賞している作家の長編デビュー作
ポルトガル語圏文学の新たな記念碑的作品、爆発的なベストセラー
現実と非現実が交錯するマジックリアリズムの世界。架空の村に暮らす不思議な人々が織りなす物語。崩壊へと向かうあり得ない日常の先にあるものとは!?・・
旧ユーゴスラヴィアが舞台の作品
「タイガーズ・ワイフ」 テア・オブレヒト(著)
[2013年] 本屋大賞【翻訳部門】受賞作
バルカン半島の歴史を含みつつ
旧ユーゴスラビア。激しい内戦の傷跡が残る中、セルビア人の若い女医・ナタリアは、ボスニア・ヘルツェゴビナ領内の孤児たちの治療に赴く。祖父の死の知らせが届き!?・・ 民族、文化、風習などを内包し、寓話エピソードを含みつつ、マジックリアリズムの手法が用いられる1冊。
北欧のマジック・リアリズム
「世界の果てのビートルズ」 ミカエル・ニエミ(著)
北欧、スウェーデンの田舎を舞台にしたマジック・リアリズム的青春小説
スウェーデンで最も北に位置し、フィンランドとの国境近くのパラヤ村。そこでの少年たちの過ごす日々ーー
アジアのマジック・リアリズム小説
イスラム・マジックリアリズム (アフガニスタン)
「きみはメタルギアソリッドV:ファントムペインをプレイする」 ジャミル・ジャン・コチャイ(著)
O・ヘンリー賞 受賞作
アフガニスタン系アメリカ人作家によるイスラム・マジックリアリズム短篇集
殆ど全ての舞台がアフガニスタンで、ソ連侵攻など歴史が絡んだ作品
ビデオゲームのマップに入り込み、アフガニスタンの故郷で殺されようとしている叔父を救出に向かう少年ーー「きみはメタルギアソリッドⅤ:ファントムペインをプレイする」など、〈メタルギアソリッドV〉と一族の戦禍の歴史が解け合う魔術的冒険、他..
インドの魔術的リアリズム
「真夜中の子供たち」 サルマン・ラシュディ(著)
[1993年] ブッカー賞の中のブッカー賞(創設25周年を記念)受賞作
[2008年] ベスト・オブ・ブッカー賞(創設40周年を記念) 受賞作
インド的マジックリアリズム作品
1947年、インド独立の日の真夜中。不思議な能力と共に生まれた子供達。その中でも、0時ちょうどに生まれたサリームの運命は、革命、戦争など祖国の歴史と結びつくーー 20世紀小説を代表する1冊とも言われています。
インドネシア作家
「美は傷」 エカ・クルニアワン(著)
インドネシア発のマジックリアリズム文学の大河小説、百年の歴史
ジャワ南部の港町に生まれた娼婦・デウィ・アユ。その一族を襲った悲劇。植民地統治、占領、独立、政変など、暴力の歴史と共に、神話、伝説、寓話などが絡み合う奇想天外な物語。
中国のマジックリアリズム
「赤い高粱」 莫 言(著)
中国のノーベル文学賞作家によるマジックリアリズム
現代中国文学の旗手の5つの連作中編からなる代表作
中国山東省高密県東北郷。日本軍が蛮勇を振るう地。婚礼の輿がひとつ、赤に染まる高粱畑の道を往く。美しい纏足を持った少女、汗に濡れ輿を担ぐ青年。血と土、酒に彩られた一族の物語が始まる。
一族の歴史を描く物語で、「百年の孤独」とよく比較される幻惑的リアリズム。
「無限病院」 韓 松(著)
SFが読みたい!2025年版【海外編】第3位
衝撃のマジックリアリズム医療SF
中国SF四天王のひとりによるSFエンタテインメント3部作【開幕篇】
平凡なビジネスマンの楊偉(ヤン・ウェイ)。ある日、ホテルでミネラルウォーターを飲んで、腹痛で倒れてしまう。巨大な病院に運び込まれ、検査を受けるが、何故か治療はしてもらえない。逃げだそうとするが、エントランスの外には、病院に入ろうとする膨大な人の海が広がっていて!?・・
台湾のマジックリアリズム
「歩道橋の魔術師」 呉 明益(著)
現代台湾文学を牽引する作家による連作短篇集
1979年の台北、物売りが立つ商場の話など。今は無き、西門町と台北駅の間の幹線道路に沿って壁のように立ち並ぶ「中華商場」と人々のマジックリアリズムの手法のエピソード。
ドラマ化、漫画化もしています。
日本のマジック・リアリズム的小説
「百年泥」 石井 遊佳(著)
【2017年下半期】芥川賞 受賞作
[第49回] 新潮新人賞
ユニークなストーリーの物語
インド南東部のチェンナイで日本語としてIT企業に雇われた語り手の「私」。そんな折、川が100年に1度の洪水にあう・・ もたらしたものは、圧倒的な「泥」だった。。泥の中からは、ウィスキーボトル、行方不明だった人間などが!?・・
「砂の女」 安部 公房(著)
読売文学賞 受賞作
〈不条理〉な状況を描いた名作
昆虫採集のため、砂丘に出かけた男が、砂穴の底に埋もれていく一軒家に閉じ込められる。男は、あらゆる方法で脱出を試みるが、男を穴の中に引き留めておこうとする女。そして、穴の上から男の逃亡を妨害し、2人の生活を眺める村の人々・・
「虚航船団」 筒井 康隆(著)
世紀末への戦慄のメッセージ
鼬族と文房具の戦闘による世界の終わりーー
鼬族の惑星・クォールの刑紀999年6月3日、2基の核弾頭ミサイルにより国際都市・ククモが攻撃され、文房具の殺戮部隊が天空から飛来した。宇宙と歴史の全てをのみ込んだ超虚構の黙示録的世界。
「夜は短し歩けよ乙女」 森見 登美彦(著)
山本周五郎賞 受賞
本屋大賞 第2位
恋愛ファンタジーの大傑作
「黒髪の乙女」に想いを寄せる先輩は、夜の先斗町に、神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。2人を待ち受ける珍事件の数々と運命の大転回。