独裁者小説と言われるジャンルに該当するであろう作品をまとめています。
ラテンアメリカ作家による作品に、独裁者をテーマにした小説が一時期、多く執筆されました。
魔術的リアリズムの手法を使いながら、独裁制を人間的現象として描いた作品が特徴です。
【独裁者】小説
「独裁者ティラノ・バンデラス:灼熱の地の小説」 バリェ゠インクラン(著)
〈独裁者小説〉の先駆的作品。本邦初訳
ガルシア゠マルケス、フエンテスら世界文学者に継承されるグロテスクな現実世界ーー
作家バリェ゠インクランが、独自の小説技法「エスペルペント」で描き出した作品。
「大統領閣下」 ミゲル・アンヘル・アストゥリアス(著)
ノーベル文学賞作家のラテンアメリカ文学
実在のモデル「大統領閣下」ことエストラーダ・カブレラの独裁支配を描いたリアリズム小説。
中南米の某国(グアテマラ)。暴力と恐怖に支配された独裁国家。「大統領閣下」の側近ミゲル・カラ・デ・アンヘルは、無実の罪をかぶせられるカナレス将軍を救い出し、その娘カミーラと結ばれるが!?・・
注目!「族長の秋」 ガブリエル・ガルシア=マルケス(著)
「百年の孤独」と並び、ガルシア=マルケスの傑作と評される独裁者小説
マジックリアリズムで描く政治権力の実相ーー
無人の聖域に踏み込んだ「われわれ」の目に映ったのは、ハゲタカに喰い荒らされた大統領の死体だった。何百年も国に君臨したが、誰も彼の顔を見たことがなかった。2,000人の子供を船にのせてダイナマイトで爆殺したという独裁者がーー
注目!「チボの狂宴」マリオ・バルガス=リョサ(著)
ノーベル文学賞作家であり、ラテンアメリカ文学を代表するマリオ・バルガス=リョサのマジック(魔術的)リアリズム小説
ドミニカ共和国のトッルヒーリョの独裁体制を描いた小説です。
30年に渡りドミニカ共和国で独裁政権のトゥルヒーリョの歴史小説です。トゥルヒーリョ体制の醜さなど歴史事実が勉強になるうえに、映画を観ているような読みやすさとストーリーとしての面白さがありました。史実とストーリーを絡めた面白い傑作です。
「激動の時代」 マリオ・バルガス゠リョサ(著)
南米文学の巨匠・マリオ・バルガス=リョサの最新作
冷戦下のグアテマラを舞台に、国際政治の闇を描いた長編
1954年、グアテマラ。10年に渡り、社会と経済を革命してきたハコボ・アルベンス政権が崩壊し、カルロス・カスティーリョ・アルマスを大統領とした独裁政権が樹立される・・
「方法異説」 アレホ・カルペンティエール(著)
「族長の秋」と並び、3大独裁者小説のひとつとも言われる作品
ラテンアメリカ世界の類型的独裁者の堕落・腐敗を象徴的に描くカルペンティエールの傑作
架空の国を舞台に、独裁者〈第一執政官〉を主人公にした〈永遠の独裁制〉を描く傑作。
「襲撃」 レイナルド・アレナス(著)
キューバの亡命作家、レイナルド・アレナスの自伝的5部作の最後の作品
唯一無二の独裁者「超厳師」が支配する絶対的な独裁国家。国民は、自由を剥奪され、強制労働が命じられていた。非人道的な抑圧システムの世界で、取締員の主人公は、各地を粛正して回る旅に出る・・
「ただ影だけ」 セルヒオ・ラミレス(著)
[2017年] セルバンテス賞(スペイン語圏最高の文学賞)受賞作
中南米のニカラグアが舞台の歴史フィクション
1979年、ニカラグア。ソモサ独裁政権の崩壊が目前の時代。ソモサの私設秘書菅のアリリオ・マルティニカは、逃亡を企てるが、革命軍に捕われる。。独裁政権に加担した嫌疑で民衆裁判にかけられるが!?・・
「ライオンを殺せ」 ホルヘ・イバルグエンゴイティア(著)
様々な思惑が入り乱れる政治喜劇
アレパは、88年に及ぶ英雄的独立戦争の末、1898年に独立国になった。陰謀、クーデター、暗殺計画・・ 恐怖政治で権力を掌握する独裁者が治める国・アレパの《真の独立》は成し遂げられるのか!?・・
「一九八四年」 ジョージ・オーウェル(著)
20世紀世界文学の最高傑作
ディストピア小説、代表的作品の不朽の名作
全体主義的近未来。「ビッグ・ブラザー」の党が支配する世界で、体制に不満を抱きつつも歴史の改竄を仕事にするウィンストン・スミス。ある時、美女のジュリアと恋に落ちたことを契機に、反政府地下活動に惹かれていくが!?・・
独裁者・ノンフィクション
「わが闘争」 アドルフ・ヒトラー(著)
世界史上稀有の政治的遺書
ナチス・ドイツのアドルフ・ヒトラーが語る恐るべき政治哲学。世界制覇の戦略と思想とを自ら語った批判的必読の書。独裁者ヒトラーの出現とヒトラー・ブーム。この不気味な現象は、何を意味し、何を至向しているのか!? その謎を解く鍵を秘めた書。