【英国推理作家協会(CWA)賞】歴代受賞作品一覧

英国推理作家協会(CWA)賞が発表されました。

翻訳出版されている候補作や歴代の受賞作などと共にまとめています。

ゴールドダガー賞を中心に、イアン・フレミング・スチール・ダガー賞など。

2024年 英国推理作家協会賞 受賞作

ゴールド・ダガー賞(Gold Dagger)

「私が何者であるか教えてください」 ウナ・マニオン(著)

Tell.Me.What.I.Am
Faber & Faber
発売日:2023/6/1

2024年のゴールド・ダガー賞の受賞者は、アメリカの女性作家ウナ・マニオンさんに決定しました。

 

ヒストリカル・ダガー(Historical Dagger)

「ヴァイパーズ・ドリーム」 ジェイク・ラマー(著)

ヴァイパーズ・ドリーム
扶桑社
発売日:2024/11/2

虚実混交のジャズ・ノワール

1961年、ニューヨーク。ジャズ全盛のハーレムで麻薬密売人をするクライドは、自身が犯した殺人を後悔していた。そんな折、ジャズ界の庇護者パノニカから願いを訊かれ、過去に思いを馳せる。1936年、トランペッターを志し都会に出てからの日々、歌姫に出会ってからの日々とは!?・・



歴代(過去)受賞作品一覧

2023年 受賞作

ゴールド・ダガー賞(Gold Dagger)

「サヴァナの王国」 ジョージ・ドーズ・グリーン(著)

サヴァナの王国
新潮社
発売日:2024/7/29

[2023年] CWAゴールド・ダガー(最優秀長篇賞)受賞作

米南部ジョージア州サヴァナを舞台にしたゴシック・ミステリ

ある夜、ホームレスの青年が殺害され、考古学者の黒人女性が拉致される。土地開発業者のグスマンが逮捕されるが、探偵事務所の老婦人モルガナに真相解明を依頼する。やがて、歴史の大きな闇が見えてきて!?・・

著者の他の作品に、1995年度アメリカ探偵作家クラブ新人賞を受賞した「ケイヴマン」「陪審員」などもあります。

 

2022年 受賞作

ゴールド・ダガー賞(Gold Dagger)

「Sunset Swing」 Ray Celestin(著)

Sunset.Swing
Mantle
発売日:2022/9/1

2022年CWA(英国推理作家協会)賞が2022年6月30日に決定しました。

著者のレイ・セレスティンは「アックスマンのジャズ」英国推理作家協会賞最優秀新人賞を受賞しています。

アックスマンのジャズ
早川書房
発売日:2016/5/10

 

イアン・フレミング・スチール・ダガー賞(Ian Fleming Steel Dagger)

「グレイラットの殺人」 M・W・クレイヴン(著)

グレイラットの殺人
早川書房
発売日:2023/9/20

「ストーンサークルの殺人」「ブラックサマーの殺人」「キュレーターの殺人」に続く翻訳、第4作目。

サミット関係者の男が売春宿で殺される。。テロを警戒する政府は、ポーに捜査を命じる・・ ポーは、3年前の強盗殺人との関連を疑うが!?-

2019年「ストーンサークルの殺人」でゴールドダガー賞を受賞

 

新人賞(ジョン・クリーシー・ダガー)(John Creasey Dagger)

「ポピーのためにできること」 ジャニス・ハレット(著)

ポピーのためにできること
集英社
発売日:2022/5/20

[2023年版] このミステリがすごい!【海外編】第3位

著者のデビュー作で「21世紀のアガサ・クリスティー」とも評される1冊

 

2021年 受賞作

ゴールド・ダガー賞(Gold Dagger)

「われら闇より天を見る」 クリス・ウィタカー(著)

われら闇より天を見る
早川書房
発売日:2022/8/17

[2023年版] このミステリがすごい!【海外編】第1位

2022年の8月に翻訳発売されています。

ミステリでありながら、成長小説、教養小説の要素もある人間ドラマ。

クリスウィタカーは、過去にも「消えた子供 トールオークスの秘密」英国推理作家協会賞新人賞を受賞しています。

 

イアン・フレミング・スチール・ダガー賞(Ian Fleming Steel Dagger)

「天使の傷」 マイケル・ロボサム(著)

天使の傷
早川書房
発売日:2022/3/16

↓ 下記、掲載の2020年ゴールド・ダガー賞「天使と嘘」続編です。

〈サイラス&イーヴィ〉シリーズ第2作

マイケル・ロボサムは、過去に2度のゴールド・ダガー賞を受賞

 

ヒストリカル・ダガー(Historical Dagger)

「帝国の亡霊、そして殺人」 ヴァシーム・カーン(著)

帝国の亡霊、そして殺人
早川書房
発売日:2023/2/7

インドのムンバイが舞台の歴史ミステリ

1949年、インドが共和国になる以前。外交官のジェームズ卿が殺された。。インド初の女性警部ペルシス・ワディアが捜査に乗り出すが、インドの共和国化へ向け独立運動の動きが高まり・・

 

2020年 受賞作

ゴールド・ダガー賞(Gold Dagger)

「天使と嘘」 マイケル・ロボサム(著)

天使と嘘
早川書房
発売日:2021/6/16

「天使と嘘」が受賞作品となりました。

マイケル・ロボサムは、2度目のゴールド・ダガー受賞となっています。

1作目は、2015年の「生か死か」で受賞しています。

 

イアン・フレミング・スチール・ダガー賞(Ian Fleming Steel Dagger)

「11月に去りし者」 ルー・バーニー(著)

2020年(第11回)翻訳ミステリー大賞 受賞作

ロードノベルの要素も含んだクライムノベル

 

2019年 受賞作

ゴールド・ダガー賞(Gold Dagger)

「ストーンサークルの殺人」 M・W・クレイヴン(著)

ストーンサークルの殺人
早川書房
発売日:2020/9/3

英国ミステリー

読みやすく、英国ミステリーらしい推理が楽しめる小説です。

ストーンサークルで見つかる死体から始まる連続殺人。26年前の事件が関係している!?予想外の犯人像が浮かび上がる!?・・

2作目以降も発売済みの「ブラックサマーの殺人」「キュレーターの殺人」があります。

 

ヒストリカル・ダガー(Historical Dagger)

「カルカッタの殺人」 アビール・ムカジー(著)

カルカッタの殺人
早川書房
発売日:2019/7/4

1919年英国領インドのカルカッタ(現コルカタ)が舞台の歴史ミステリー

 

2018年 受賞作

ゴールド・ダガー賞(Gold Dagger)

「The Liar」 スティーヴ・キャヴァナー(著)

The.Liar
Orion
発売日:2020/3/19

[未訳]

 

イアン・フレミング・スチール・ダガー賞(Ian Fleming Steel Dagger)

「ブルーバード・ブルーバード」 アッティカ・ロック(著)

ブルーバード・ブルーバード
早川書房
発売日:2018/12/5

2018年アメリカ探偵作家クラブ(エドガー)賞 受賞作

現代アメリカの問題となっているヘイトクライムなどと通ずるアフリカ系アメリカ人への差別など、現実社会を扱ったミステリー小説です。

テキサスの土壌も感じられる1冊です。

 

ヒストリカル・ダガー(Historical Dagger)

「影の子」 デイヴィッド・ヤング(著)

影の子
早川書房
発売日:2018/5/2

1975年、冷戦下の東ベルリン。ベルリンの壁のそばで少女の死体が見つかる。女性刑事が捜査をするうち、分断国家の闇が見えてくる!?・・

 

2017年 受賞作

ゴールド・ダガー賞(Gold Dagger)

「渇きと偽り」 ジェイン・ハーパー(著)

渇きと偽り
早川書房
発売日:2018/7/19

オーストラリアが舞台のフーダニット

旱魃など、土地柄や空気感が伝わるミステリーです。

オーストラリアの小さな田舎町で起こる事件。密接な人間関係から見えてくる問題点。故郷に戻ってきた警部が捜査を始めるが!?・・

 

2016年 受賞作

ゴールド・ダガー賞(Gold Dagger)

「東の果て、夜へ」 ビル・ビバリー(著)

東の果て、夜へ
早川書房
発売日:2017/9/7

このミステリーがすごい!2018年版【海外編】第3位

クライムロードノベルの傑作

アメリカ西海岸から裏切り者を殺すため、2000マイルの長い旅へ・・

 

イアン・フレミング・スチール・ダガー賞(Ian Fleming Steel Dagger)

「ザ・カルテル」 ドン・ウィンズロウ(著)

ザ・カルテル
KADOKAWA
発売日:2016/4/23

このミステリーがすごい!2017年版【海外編】第2位

メキシコ麻薬戦争の壮大なクライムノベル「犬の力」3部作の第2弾

クライムノベルの帝王、ドン・ウィンズロウによる傑作。

 

インターナショナル・ダガー賞(International Dagger)

「天国でまた会おう」 ピエール・ルメートル(著)

天国でまた会おう
早川書房
発売日:2015/10/16

ゴンクール賞 受賞作

フランスで最も名誉ある賞で、ノーベル文学賞、ブッカー賞と並び、世界3大文学賞とも言われています。

 

2015年 受賞作

ゴールド・ダガー賞(Gold Dagger)

「生か、死か」 マイケル・ロボサム(著)

生か、死か
早川書房
発売日:2018/3/6

英国推理作家協会賞の受賞&ノミネート共に常連作家で、2020年にもゴールド・ダガー賞を受賞しています。

 

イアン・フレミング・スチール・ダガー賞(Ian Fleming Steel Dagger)

「警官の街」 カリン・スローター(著)

警官の街
オークラ出版
発売日:2015/12/25

アメリカのアトランタが舞台の犯罪小説

新ミステリーの女王とも言われるカリン・スローターは、アメリカ南部アトランタ出身の作家です。

 

インターナショナル・ダガー賞(International Dagger)

「傷だらけのカミーユ」 ピエール・ルメートル(著)

傷だらけのカミーユ
文藝春秋
発売日:2016/10/7

デビュー作「悲しみのイレーヌ」「その女アレックス」のヴェルーヴェン警部シリーズ3部作の最終作です。

 

ジョン・クリーシー・ダガー賞(John Creasey Dagger)

「われらの独立を記念し」 スミス・ヘンダーソン(著)

われらの独立を記念し
早川書房
発売日:2017/6/8

 

2014年 受賞作

ゴールド・ダガー賞(Gold Dagger)

「約束の道」 ワイリー・キャッシュ(著)

約束の道
早川書房
発売日:2014/5/9

 

2013年 受賞作

ゴールド・ダガー賞(Gold Dagger)

「死んだライオン」 ミック・ヘロン(著)

死んだライオン
早川書房
発売日:2016/4/7

ミック・ヘロンは、英国推理作家協会賞のノミネート常連作家でもあります。

 

イアン・フレミング・スチール・ダガー賞(Ian Fleming Steel Dagger)

「ゴーストマン 時限紙幣」 ロジャー・ホッブス(著)

ゴーストマン・時限紙幣
文藝春秋
発売日:2017/3/10

マルタの鷹協会ファルコン賞受賞作

このミステリーがすごい!2015年版 第3位

5年前のマレーシア、クアラルンプールでの銀行襲撃計画と現在の時限紙幣追跡。2つの物語が並行する傑作ノワール。

続編に、「ゴーストマン 消滅遊戯」があります。

 

2012年 受賞作

ゴールド・ダガー賞(Gold Dagger)

“The Rage” ジーン・ケリガン(著)

[未訳]

 

2011年 受賞作

ゴールド・ダガー賞(Gold Dagger)

「ねじれた文字、ねじれた路」 トム・フランクリン(著)

ねじれた文字、ねじれた路
早川書房
発売日:2013/11/8

内気な少年ラリーと野球好きのサイラス。25年後に自動車整備士として働くラリーは、街の有力者の娘の失踪事件で疑いの目を向けられる。。治安官になったサイラスは事件の捜査を進めるが!?・・

 

イアン・フレミング・スチール・ダガー賞(Ian Fleming Steel Dagger)

「解錠師」 スティーヴ・ハミルトン(著)

解錠師
早川書房
発売日:2012/12/9

[2011年] アメリカ探偵作家クラブ(MWA)エドガー賞 最優秀長篇賞

このミステリーがすごい!2013年版【海外編】 第1位

どんな錠も開けることが出来る才能のあるマイク。高校生になったマイクはプロの金庫破りの弟子となり解錠師になるが・・



英国推理作家協会(CWA)賞の各部門

通称「CWA賞」の英国推理作家協会賞には、10の部門が存在します。

 

ゴールド・ダガー賞

最優秀長編作品に与えられる賞です。

数ある部門の中でも、帯などで最も目にすることの多い賞かと思います。

 

イアン・フレミング・スチール・ダガー賞

その年の優れたスリラー小説、冒険小説、スパイ小説に与えられる賞。

2002年に創設された賞です。

 

ヒストリカル・ダガー

最優秀歴史ミステリ賞となります。

1999年に創設された賞です。

 

インターナショナル・ダガー賞

その年の最も優れた翻訳小説に与えられる賞です。

優れた英語以外の作品に与えられます。

2005年まではゴールド・ダガー賞に含まれていて、2006年に創設。

2020年からは、「CWA CRIME FICTION IN TRANSLATION DAGGER」に名前が変更されています。

 

ジョン・クリーシー・ダガー賞(ニュー・ブラッド・ダガー賞)

その年の優れた新人作家によるミステリ小説に与えられる賞です。

設立当時のメンバーのジョン・クリーシーにちなみ、1973年に創設。

 

おわりに

英国推理作家協会賞は、同じ作家が好まれる傾向があるのかもしれません。

例えば、マイケル・ロボサムは2021年にスチール・ダガー賞を受賞しましたが、過去に2度ゴールド・ダガー賞を受賞しています。

ミック・ヘロンは、2013年に「死んだライオン」でゴールド・ダガー賞を受賞し、「Spook Street」で2017年のイアン・フレミング・スチール・ダガー賞を受賞しています。

ピエール・ルメートルも部門は違いますが、複数回受賞しています。