【プレ・モダニズム期の代表的作家】リアリズムとモダニズムを繋ぐ時代

プレ・モダニズム期の作家と、その代表作をまとめています。

リアリズム文学とモダニズム文学をつなぐ時期のプレ・モダニズム文学。

そんな時代の文学の特徴や活躍した作家・詩人の作品を掲載しています。

プレ・モダニズム文学とは!?

プレ・モダニズム期とは、モダニズム(近代主義)の登場前の時期で、19世紀末~20世紀初頭の頃を言います。

プレ・モダニズム期の作家は、リアリズムや自然主義の影響を受けつつ、モダニズムへの移行段階に活躍した作家、詩人となります。

リアリズム文学とモダニズム文学をつなぐ時期に、伝統的な文学様式や価値観を否定しつつ、新しい表現方法を見据えた時代となります。

この時期の文学作品は、現代的な文学の基盤を創り、後のモダニズム文学に大きな影響を与えました。

モダニズムが、人間の精神や意識、無意識など、内的なテーマを扱う傾向にあるのに対し、プレ・モダニズムは、社会や女性の境遇など、社会的なテーマを扱うことが多い傾向にあります。



プレ・モダニズム期の作家 一覧

ヘンリー・ジェイムズ(イギリス)

「ねじの回転」 ヘンリー・ジェイムズ(著)

ねじの回転
光文社
発売日:2012/9/12

リアリズムの限界を越え、モダニズムの基礎を築いた先駆者

文学史上もっとも恐ろしい小説

両親を亡くした兄妹は、英国・エセックスの伯父の屋敷に身を寄せる。その家庭教師として雇われた「わたし」は、亡霊を目撃する。子供たちを守るため、その正体を探るが!?・・ 心理描写と構造から生み出される戦慄の物語。

 

イーディス・ウォートン(アメリカ)

「無垢の時代」 イーディス・ウォートン(著)

無垢の時代
岩波書店
発売日:2023/6/19

[1921年] ピューリッツァー賞 受賞作

モダニズムへの移行を暗示する作品多数

1870年代ニューヨーク。富の大小で階級の定まった社交界、純真なメイとの婚約発表を間近に控えたニューランドは、ヨーロッパで自由な生活をおくり戻ってきたエレンと再会する。 やがて、2人の女性の間で揺れ惑うようになるが!?・・

 

トーマス・ハーディー(イギリス)

「日陰者ジュード」 トマス・ハーディ(著)

日陰者ジュード
光文社
発売日:2025/6/11

近代人の悲劇的運命を描いたトマス・ハーディの代表作

学問の道を志す貧しいジュードは、独学をしつつ、生活のため、石工の見習いとなる。奔放なアラベラと結婚するものの、関係はすぐに破綻してしまう。その後、従妹・スーに惹かれ、2人は同棲を始めるが!?・・

 

ジョージ・エリオット(イギリス)

「ミドルマーチ」 ジョージ・エリオット(著)

ミドルマーチ1
光文社
発売日:2019/1/8

プレモダンの文豪の人間描写が織りなす壮大な物語(全4巻)

(2015年・BBC)「最も偉大なイギリス小説100」第1位

地方都市・ミドルマーチ。20歳前の娘・ドロシア・ブルックは、温厚でハンサムな准男爵を退け、学究生活に打ち込んでいる50がらみの牧師と婚約する・・

 

ジョゼフ・コンラッド(イギリス)

「闇の奥」 ジョゼフ・コンラッド(著)

闇の奥
新潮社
発売日:2022/10/28

名作「ロードジム」で知られる作家ジョゼフ・コンラッドの傑作

コンゴを舞台に著者自身の実体験をもとにした作品。大自然の魔性と植民地主義の闇。

19世紀末、船乗りマーロウは、アフリカ大陸の中央部に派遣される。奥地出張所に象牙貿易で業績を上げた社員の噂を耳にし、大密林を分け入り、最奥地にたどり着くが!?・・

舞台は違いますが「地獄の黙示録」で映画化

 

ロバート・ルイス・スティーヴンソン(スコットランド)

「ジキルとハイド」 ロバート・ルイス・スティーヴンソン(著)

ジキルとハイド
新潮社
発売日:2015/1/28

プレ・モダニズム文学の代表的な作家のひとり

「宝島」で知られる作家の古典的名作怪奇小説

二重人格の代名詞としても名高い怪奇小説。高名な紳士・ジキルと醜悪な小男・ハイド。人間の心に潜む善と悪の葛藤ーー

 

W.B.イェイツ(アイルランド)

「神秘の薔薇」 W.B.イェイツ(著)

神秘の薔薇
国書刊行会
発売日:1994/7/1

アイルランドのノーベル賞詩人・イェイツの神秘的幻想小説

オカルト、薔薇十字、ケルト神話、ケルトの魂、神秘ーー

今世紀最大の詩人のひとりで、アイルランド文芸復興運動の指導者でもあるイェイツは、カバラ、薔薇十字、インド学等世紀末の神秘思想に傾倒していて、「黄金黎明会」の会員でもあった。

 

エズラ・パウンド(アメリカ)

「パウンド詩集」 エズラ・パウンド(著)

パウンド詩集
思潮社
発売日:1998/8/1

モダニズムの火付け役とも言われる詩人

アメリカ現代詩の源流と見なされ、詩のモダニズム運動の中心的人物のひとり

文明の感受性の変革者、未来への波動。