プレ・モダニズム期の作家と、その代表作をまとめています。
リアリズム文学とモダニズム文学をつなぐ時期のプレ・モダニズム文学。
そんな時代の文学の特徴や活躍した作家・詩人の作品を掲載しています。
プレ・モダニズム文学とは!?
プレ・モダニズム期とは、モダニズム(近代主義)の登場前の時期で、19世紀末~20世紀初頭の頃を言います。
プレ・モダニズム期の作家は、リアリズムや自然主義の影響を受けつつ、モダニズムへの移行段階に活躍した作家、詩人となります。
リアリズム文学とモダニズム文学をつなぐ時期に、伝統的な文学様式や価値観を否定しつつ、新しい表現方法を見据えた時代となります。
この時期の文学作品は、現代的な文学の基盤を創り、後のモダニズム文学に大きな影響を与えました。
モダニズムが、人間の精神や意識、無意識など、内的なテーマを扱う傾向にあるのに対し、プレ・モダニズムは、社会や女性の境遇など、社会的なテーマを扱うことが多い傾向にあります。
プレ・モダニズム期の作家 一覧
ヘンリー・ジェイムズ(イギリス)
「ねじの回転」 ヘンリー・ジェイムズ(著)
リアリズムの限界を越え、モダニズムの基礎を築いた先駆者
文学史上もっとも恐ろしい小説
両親を亡くした兄妹は、英国・エセックスの伯父の屋敷に身を寄せる。その家庭教師として雇われた「わたし」は、亡霊を目撃する。子供たちを守るため、その正体を探るが!?・・ 心理描写と構造から生み出される戦慄の物語。
イーディス・ウォートン(アメリカ)
「無垢の時代」 イーディス・ウォートン(著)
[1921年] ピューリッツァー賞 受賞作
モダニズムへの移行を暗示する作品多数
1870年代ニューヨーク。富の大小で階級の定まった社交界、純真なメイとの婚約発表を間近に控えたニューランドは、ヨーロッパで自由な生活をおくり戻ってきたエレンと再会する。 やがて、2人の女性の間で揺れ惑うようになるが!?・・
トーマス・ハーディー(イギリス)
「日陰者ジュード」 トマス・ハーディ(著)
近代人の悲劇的運命を描いたトマス・ハーディの代表作
学問の道を志す貧しいジュードは、独学をしつつ、生活のため、石工の見習いとなる。奔放なアラベラと結婚するものの、関係はすぐに破綻してしまう。その後、従妹・スーに惹かれ、2人は同棲を始めるが!?・・
ジョージ・エリオット(イギリス)
「ミドルマーチ」 ジョージ・エリオット(著)
プレモダンの文豪の人間描写が織りなす壮大な物語(全4巻)
(2015年・BBC)「最も偉大なイギリス小説100」第1位
地方都市・ミドルマーチ。20歳前の娘・ドロシア・ブルックは、温厚でハンサムな准男爵を退け、学究生活に打ち込んでいる50がらみの牧師と婚約する・・
ジョゼフ・コンラッド(イギリス)
「闇の奥」 ジョゼフ・コンラッド(著)
名作「ロードジム」で知られる作家ジョゼフ・コンラッドの傑作
コンゴを舞台に著者自身の実体験をもとにした作品。大自然の魔性と植民地主義の闇。
19世紀末、船乗りマーロウは、アフリカ大陸の中央部に派遣される。奥地出張所に象牙貿易で業績を上げた社員の噂を耳にし、大密林を分け入り、最奥地にたどり着くが!?・・
舞台は違いますが「地獄の黙示録」で映画化
ロバート・ルイス・スティーヴンソン(スコットランド)
「ジキルとハイド」 ロバート・ルイス・スティーヴンソン(著)
プレ・モダニズム文学の代表的な作家のひとり
「宝島」で知られる作家の古典的名作怪奇小説
二重人格の代名詞としても名高い怪奇小説。高名な紳士・ジキルと醜悪な小男・ハイド。人間の心に潜む善と悪の葛藤ーー
W.B.イェイツ(アイルランド)
「神秘の薔薇」 W.B.イェイツ(著)
アイルランドのノーベル賞詩人・イェイツの神秘的幻想小説
オカルト、薔薇十字、ケルト神話、ケルトの魂、神秘ーー
今世紀最大の詩人のひとりで、アイルランド文芸復興運動の指導者でもあるイェイツは、カバラ、薔薇十字、インド学等世紀末の神秘思想に傾倒していて、「黄金黎明会」の会員でもあった。
エズラ・パウンド(アメリカ)
「パウンド詩集」 エズラ・パウンド(著)
モダニズムの火付け役とも言われる詩人
アメリカ現代詩の源流と見なされ、詩のモダニズム運動の中心的人物のひとり
文明の感受性の変革者、未来への波動。