【セルビア共和国の作家の小説】旧ユーゴスラビアが舞台の物語など

ヨーロッパの東、バルカン半島に位置するセルビア共和国の小説をまとめています。

1991年、旧ユーゴスラビア連邦共和国から残り、セルビア・モンテネグロとなりました。

2006年、モンテネグロも独立し、現在では、セルビア共和国となっています。

セルビア共和国作家の小説

「図書館」 ゾラン・ジヴコヴィチ(著)

図書館
書肆盛林堂
発売日:2024/1/4

セルビアを代表する作家・ゾラン・ジヴコヴィッチの代表作

本にまつわる不条理な物語

「ゾラン・ジヴコヴィチ ファンタスチカ」というシリーズ名で、著作が刊行されています。

第2弾の「本を読む女(ひと)」も邦訳されています。

 

「ゾラン・ジフコヴィッチの不思議な物語」 ゾラン・ジフコヴィッチ(著)

ゾラン・ジフコヴィッチの不思議な物語
Kurodahan Press
発売日:2010/10/15

摩訶不思議なストーリーを集めた傑作選

SF、ポストモダン、シュールレアリスム

セルビア・ベオグラード出身の注目作家・ゾラン・ジヴコヴィッチの知性とユーモア、シュールさの入り混じる独特の世界。それぞれのパーツが、クライマックスに向け、ひとつの形を成していくプロット。

 

「ドイツの歌姫 他五篇」 ラーザ・ラザーレヴィチ(著)

ドイツの歌姫
幻戯書房
発売日:2023/10/26

19世紀セルビアのリアリズム文学を確立した作家の中短編6篇

古き良き民衆を、共感と深い洞察で活写した作品。

「ドイツの歌姫」ー エリート医学生がドイツ留学し、西欧との出逢い、東欧との疎隔と葛藤を描く自叙伝的作品。

 

「猟犬たちの山脈」 ビング・ウェスト(著)

猟犬たちの山脈
文藝春秋
発売日:2004/9/1

コソボ紛争を絡めた軍事冒険小説

紛争が鎮まらないコソボ。そこに駐留する米軍大尉が、セルビア軍に拉致される。海兵隊精鋭チーム「ペッパードッグズ」は、大尉奪還に向かう。厳寒の山中、援軍なし。5名の男達は、仲間を救い、生還できるのか!?・・

 

「ベオグラード日誌」 山崎 佳代子(著)

ベオグラード日誌
筑摩書房
発売日:2025/4/12

読売文学賞 受賞作

セルビア在住の詩人による日記文学

戦争の傷、文学、ベオグラードの人びと、難民の子どもたち・・



旧ユーゴスラビア共和国が舞台の作品

「クレディブル・ダガー 信義の短剣」 グレゴリー・M・アクーニャ(著)

クレディブル・ダガー
扶桑社
発売日:2023/11/2

大戦下のユーゴスラヴィアが舞台の実話に基づく群像エスピオナージュ

1941年、ベオグラード。英米の留学生・ジョゼフ、ディック、セレステ、ペネロピの4人は、大学で青春を謳歌していた。しかし、ナチス・ドイツのバルカン半島への侵攻で、突如、一変し!?・・ ユーゴスラヴィアは、第3帝国占領下で、ミハイロヴィッチ将軍の率いる民族派の〈チェトニック〉と、チトーがリーダーの共産主義派の〈パルチザン〉が対独抵抗組織として反目しあっていた。

 

「空爆下のユーゴスラビアで―涙の下から問いかける」 ペーター・ハントケ(著)

ノーベル文学賞作家の代表作

スレブレニツァの虐殺の事実を否定し、セルビア人の戦争犯罪を擁護するという政治思想から、受賞にあたって物議を醸した受賞者です。

オーストリア出身の作家ですが、セルビアのミロシェヴィッチ(2006年没)の熱狂的な支持者として知られています。

 

「ボリス・ダヴィドヴィチのための墓:一つの共有の歴史をめぐる七つの章」 ダニロ・キシュ(著)

ユーゴスラヴィア作家・ダニロ・キシュの代表作

スターリン時代の粛清と全体主義社会での苦闘を描く7つの連作短編集。

ボルヘスの「汚辱の世界史」への対本として。オマージュ、アンチテーゼとして。

 

「タイガーズ・ワイフ」 テア・オブレヒト(著)

タイガーズ・ワイフ
新潮社
発売日:2012/8/24

[2013年] 本屋大賞【翻訳部門】受賞作

バルカン半島の歴史を含みつつ

旧ユーゴスラビア。激しい内戦の傷跡が残る中、セルビア人の若い女医・ナタリアは、ボスニア・ヘルツェゴビナ領内の孤児たちの治療に赴く。祖父の死の知らせが届き!?・・ 民族、文化、風習、寓話エピソードを含みつつ、マジックリアリズムの手法が用いられる1冊。

 

「修道師と死」 メシャ・セリモヴィッチ(著)

修道師と死
松籟社
発売日:2013/7/19

オスマン帝国支配下のボスニアが舞台の小説

信仰の道を静かに歩む修道師の〈私〉は、イスラム教のスーフィー、アフメド・ヌルディン。宗教的な話を人々に説いていた。しかし、ある不可解な事件の報で、彼の世界は変容を遂げる。修道師は孤独な闘いを続けるが!?・・

 

「シルバービュー荘にて」 ジョン・ル・カレ(著)

シルバービュー荘にて
早川書房
発売日:2021/12/16

ジョン・ル・カレの遺作となったスパイ小説

1990代初頭、旧ユーゴスラビアで勃発するボスニア・ヘルツェゴビナ紛争を絡めた作品

英国の海辺の町で書店を営むジュリアンは、シルバービュー荘に住むエドワードと親しくなる。そのエドワードから見知らぬ女に手紙を渡すよう頼まれる。

一方、イギリス情報部の国内保安の責任者プロクターは、エドワードを調査するが!?・・ シルバービュー荘に住むエドワードは何者なのか!?

 

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