ヨーロッパの東、バルカン半島に位置するセルビア共和国の小説をまとめています。
1991年、旧ユーゴスラビア連邦共和国から残り、セルビア・モンテネグロとなりました。
2006年、モンテネグロも独立し、現在では、セルビア共和国となっています。
セルビア共和国作家の小説
「図書館」 ゾラン・ジヴコヴィチ(著)
セルビアを代表する作家・ゾラン・ジヴコヴィッチの代表作
本にまつわる不条理な物語
「ゾラン・ジヴコヴィチ ファンタスチカ」というシリーズ名で、著作が刊行されています。
第2弾の「本を読む女(ひと)」も邦訳されています。
「ゾラン・ジフコヴィッチの不思議な物語」 ゾラン・ジフコヴィッチ(著)
摩訶不思議なストーリーを集めた傑作選
SF、ポストモダン、シュールレアリスム
セルビア・ベオグラード出身の注目作家・ゾラン・ジヴコヴィッチの知性とユーモア、シュールさの入り混じる独特の世界。それぞれのパーツが、クライマックスに向け、ひとつの形を成していくプロット。
「ドイツの歌姫 他五篇」 ラーザ・ラザーレヴィチ(著)
19世紀セルビアのリアリズム文学を確立した作家の中短編6篇
古き良き民衆を、共感と深い洞察で活写した作品。
「ドイツの歌姫」ー エリート医学生がドイツ留学し、西欧との出逢い、東欧との疎隔と葛藤を描く自叙伝的作品。
「猟犬たちの山脈」 ビング・ウェスト(著)
コソボ紛争を絡めた軍事冒険小説
紛争が鎮まらないコソボ。そこに駐留する米軍大尉が、セルビア軍に拉致される。海兵隊精鋭チーム「ペッパードッグズ」は、大尉奪還に向かう。厳寒の山中、援軍なし。5名の男達は、仲間を救い、生還できるのか!?・・
「ベオグラード日誌」 山崎 佳代子(著)
読売文学賞 受賞作
セルビア在住の詩人による日記文学
戦争の傷、文学、ベオグラードの人びと、難民の子どもたち・・
旧ユーゴスラビア共和国が舞台の作品
「クレディブル・ダガー 信義の短剣」 グレゴリー・M・アクーニャ(著)
大戦下のユーゴスラヴィアが舞台の実話に基づく群像エスピオナージュ
1941年、ベオグラード。英米の留学生・ジョゼフ、ディック、セレステ、ペネロピの4人は、大学で青春を謳歌していた。しかし、ナチス・ドイツのバルカン半島への侵攻で、突如、一変し!?・・ ユーゴスラヴィアは、第3帝国占領下で、ミハイロヴィッチ将軍の率いる民族派の〈チェトニック〉と、チトーがリーダーの共産主義派の〈パルチザン〉が対独抵抗組織として反目しあっていた。
「空爆下のユーゴスラビアで―涙の下から問いかける」 ペーター・ハントケ(著)
ノーベル文学賞作家の代表作
スレブレニツァの虐殺の事実を否定し、セルビア人の戦争犯罪を擁護するという政治思想から、受賞にあたって物議を醸した受賞者です。
オーストリア出身の作家ですが、セルビアのミロシェヴィッチ(2006年没)の熱狂的な支持者として知られています。
「ボリス・ダヴィドヴィチのための墓:一つの共有の歴史をめぐる七つの章」 ダニロ・キシュ(著)
ユーゴスラヴィア作家・ダニロ・キシュの代表作
スターリン時代の粛清と全体主義社会での苦闘を描く7つの連作短編集。
ボルヘスの「汚辱の世界史」への対本として。オマージュ、アンチテーゼとして。
「タイガーズ・ワイフ」 テア・オブレヒト(著)
[2013年] 本屋大賞【翻訳部門】受賞作
バルカン半島の歴史を含みつつ
旧ユーゴスラビア。激しい内戦の傷跡が残る中、セルビア人の若い女医・ナタリアは、ボスニア・ヘルツェゴビナ領内の孤児たちの治療に赴く。祖父の死の知らせが届き!?・・ 民族、文化、風習、寓話エピソードを含みつつ、マジックリアリズムの手法が用いられる1冊。
「修道師と死」 メシャ・セリモヴィッチ(著)
オスマン帝国支配下のボスニアが舞台の小説
信仰の道を静かに歩む修道師の〈私〉は、イスラム教のスーフィー、アフメド・ヌルディン。宗教的な話を人々に説いていた。しかし、ある不可解な事件の報で、彼の世界は変容を遂げる。修道師は孤独な闘いを続けるが!?・・
「シルバービュー荘にて」 ジョン・ル・カレ(著)
ジョン・ル・カレの遺作となったスパイ小説
1990代初頭、旧ユーゴスラビアで勃発するボスニア・ヘルツェゴビナ紛争を絡めた作品
英国の海辺の町で書店を営むジュリアンは、シルバービュー荘に住むエドワードと親しくなる。そのエドワードから見知らぬ女に手紙を渡すよう頼まれる。
一方、イギリス情報部の国内保安の責任者プロクターは、エドワードを調査するが!?・・ シルバービュー荘に住むエドワードは何者なのか!?
おすすめノンフィクション
注目!「戦争広告代理店〜情報操作とボスニア紛争」 高木 徹(著)
ボスニア戦争の情報操作について描いたドキュメント
ユーゴ内戦でクロアチア外相が世界にふれまわり、PRすることでセルビア人をいかに悪のイメージに仕立てていったかという現実。情報操作とボスニア紛争。