【東南アジアが舞台の小説20冊】タイ、ベトナム、マレーシア、カンボジアなど

東南アジア小説

東南アジアを舞台にした歴史、ミステリー小説などをまとめています。

マレーシア、シンガポール、タイ、カンボジア、ミャンマー、ベトナム、シンガポールなどを舞台にした小説です。

ブッカー賞やピュリツァー賞の受賞作なども。

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東南アジアが舞台の小説

ヴェトナム

「シンパサイザー」 ヴィエト・タン・ウェン(著)

シンパサイザー
早川書房
発売日:2017/8/24

ピュリツァー賞・エドガー賞受賞作

 ヴェトナム戦争絡みのスパイ小説

アメリカに住むヴェトナム人作家ならではの視点の小説です。

1975年、ヴェトナム戦争末期、北ヴェトナムと南ヴェトナムの狭間で行なわれる情報戦。途中から舞台はロサンゼルスへ。そこでも将軍達の動向を北ベトナムの同士へ報告し続ける..

 

第2作目の「革命と献身 シンパサイザーII」も発売されています。

革命と献身・シンパサイザーII
早川書房
発売日:2021/12/16

 

「夜間旅行者」 ユン・ゴウン(著)

夜間旅行者
早川書房
発売日:2023/10/4

英国推理作家協会賞(CWA)最優秀【翻訳小説賞】受賞作

ダークツアー専門の旅行会社の社員・ヨナ。自社企画の査定を命じられ、ベトナム沖の島・ムイに向かう。。しかし、様々なトラブルに巻き込まれていき!?・・

 

ミャンマー(旧ビルマ)

「奥のほそ道」 リチャード・フラナガン(著)

奥のほそ道
白水社
発売日:2018/5/26

[2014年度] ブッカー賞受賞作

タイとビルマ(現・ミャンマー)を結ぶ「泰緬鉄道」をテーマにした戦争小説

1943年、オーストラリア軍の軍医の主人公は日本軍の捕虜になり、泰緬鉄道(死の鉄路)建設の過酷な重労働につく。そこに1通の手紙が届き…

 

「ビルマの日日」 ジョージ・オーウェル(著)

ビルマの日々
グーテンベルク21
発売日:

ジョージ・オーウェルの自伝的デビュー作品。

イギリス植民地時代のビルマ(現ミャンマー)、自身の体験をもとに執筆された名作。

 

「いくさの底」 古処誠二(著)

いくさの底
KADOKAWA
発売日:2017/8/8

ミステリが読みたい!2018年版【国内部門】 第2位

戦地ミステリー

ビルマ行軍(現ミャンマー)の駐屯地で起きる殺人ミステリ。

途中くらいから種明かしが始まると駐屯地ならではの理由などがあり、戦争時の東南アジアでの日本軍の様子(雰囲気)などもあります。

比較的、薄い本で読みやすいので、いっき読みも可能です。



マレーシア

「夜の獣、夢の少年」 ヤンシィー・チュウ(著)

夜の獣、夢の少年
東京創元社
発売日:2021/5/10

イギリス植民地時代のマラヤ(現マレーシア)を舞台にした幻想ミステリ

中華系マレーシア人作家のデビュー作です。

読了レビューもページ↓↓↓下部に記載しています。

第2作目となるファンタジー「彼岸の花嫁」も発売されています。

 

「夕霧花園」 タン・トゥアンエン(著)

夕霧花園
彩流社
発売日:2023/2/24

マン・アジア文学賞(現代アジア文学で最も優れた小説に贈与)受賞作

1980年代マレーシア。元連邦裁判所判事のテオ・ユンリンは、キャメロン高原の日本庭園「夕霧」を訪れる。そこは30年前に天皇の庭師だった日本人、アリトモに弟子入りした場所だった・・

日本軍のマレー半島侵攻、英国統治時代のマラヤ連邦(現マレーシア)を背景に、戦争で傷ついた人達の人生が交錯する。

 

「クアラルンプールから来た大商人」 クリスマス(著)

クアラルンプールから来た大商人
井村文化事業社
発売日:1993/8/10

マレーシア作家によるマレーシアが舞台の小説です。

国民的作家で、第1回国家文学賞を受賞しているそうです。

 

「アミナ」 賀淑芳(著)

アミナ
白水社
発売日:2023/9/27

英国PEN翻訳賞 受賞作

マレーシアを代表する女性作家の11篇からなる短篇集

民族・宗教・国境などの境界をこえようと悩み、もがく女性達。

男性優位の社会の中で、イスラム化に急加速するマレーシアの現状。マレー人、華人、インド人で構成される多民族・多言語国家のマレーシアを知れる小説。

 

「わたしたちが起こした嵐」 ヴァネッサ・チャン(著)

わたしたちが起こした嵐
春秋社
発売日:2024/7/2

マラヤ(マレーシア)が舞台の戦争小説

1945年、英国統治下から日本占領下となったマラヤで、少年達が姿を消し始める。日本軍のスパイに協力した主婦セシリーと家族に起こった数々の悲劇とは!?・・

 

カンボジア

「誕生日パーティー」 ユーディト・W・タシュラー(著)

誕生日パーティー
集英社
発売日:2021/5/26

ドイツの作家によるカンボジア、ポル・ポト政権下を背景にした物語。

1970年代、クメール・ルージュ。カンボジアの共産主義化や大量虐殺などの歴史がわかる小説です。

著者は、「国語教師」でドイツ推理作家協会賞を受賞

 

「蝶の物語たち」 ウィリアム・T. ヴォルマン(著)

蝶の物語たち
白水社
発売日:1996/12/1

ポストモダン作家の重要人物と言われる著者の作品

ポル・ポト大虐殺の描写を含みつつ

米国人ジャーナリストは、愛する娼婦・ヴァンナを探し、タイ・カンボジア国境を越える。地雷と密林、死とエイズの国、その果てに彼が見た東南アジアとは!?・・

 

「インドラネット」 桐野 夏生(著)

カンボジア旅行気分も味わえる1冊

何の取り柄もなくコンプレックスを抱える八目晃。カリスマ性がある高校の同級生・野々宮空知と親しく付き合っていた。しかし、空知が、カンボジアで消息をたつ。晃は、東南アジアの混沌の中に飛び込むが!?・・

 

「ゲームの王国」 小川 哲(著)

ゲームの王国
早川書房
発売日:2017/8/24

山本周五郎賞 受賞作

カンボジアの史実を歴史背景にしたSF小説

上巻までは現代史を絡めた感じの物語、下巻からは近未来という感じの構成の面白い物語です。クメールルージュ絡みのマジックリアリズムみたいな感じで、カンボジアの貧困の体質などが垣間見れます。



タイ

「マンゴー・レイン」 馳 星周(著)

タイが舞台のノワールの巨匠によるハードボイルド小説

著者は、2020年に「少年と犬」で直木賞を受賞しました。

バンコクを駆けまわるシーンなどもあります。

 

「王国への道」 遠藤 周作(著)

王国への道
新潮社
発売日:1984/3/1

江戸時代初期にタイで生きた日本人を描く歴史小説

タイのアユタヤの歴史などがわかる内容になっています。

 

「暁の寺」 三島 由紀夫(著)

タイの中心部バンコクに流れる河、チャオプラヤー沿いにある寺院ワットアルンは、歴史と格式のあるお寺です。

ヒンドゥーと仏教が融合した寺院でもあります。

 

シンガポール

「タックスヘイヴン TAX HAVEN」 橘 玲(著)

タックスへイヴン
幻冬舎
発売日:2016/4/12

シンガポールで最も成功した日本人金融コンサルタント・北川がホテルから転落死する。妻の紫帆は、高校の同級生の牧島と現地シンガポールに赴く。紫帆は、そこで北川の現地妻と息子の存在を知る。1000億円を扱うファンドマネージャーだった北川は、政治家や会社社長などのプライベートバンクの口座に、10億円、50億円規模で穴を開けていた。北川の死は、自殺か!? それとも殺人か!?・・

 

インドネシア

「美は傷」 エカ・クルニアワン(著)

マジックリアリズム文学の大河小説

ジャワ南部の港町に生まれた娼婦・デウィ・アユ。その一族を襲った悲劇。植民地統治、占領、独立、政変など、暴力の歴史と共に、神話、伝説、寓話などが絡み合う奇想天外な物語。

 

「HUJAN 雨」 テレ・リエ(著)

HUJAN・雨
悠光堂
発売日:2024/10/10

インドネシアのベストセラー作家による友情、愛、別れ、雨の物語

2042年、古火山の巨大噴火で、世界中が被災する。両親を亡くした少女・ライルは、少年・エソックと出会う。ライルは、未成年避難者施設へ身を移し、エソックは養子となり、大学進学後は忙しくしていた。それぞれの環境で生きる2人は、再びおとずれた地球の危機的な状況にどう生きるのか!?・・

 

仏領インドシナ

「時の睡蓮を摘みに」 葉山 博子(著)

時の睡蓮を摘みに
早川書房
発売日:2023/12/20

[2023年] アガサ・クリスティ賞 受賞作

1936年、仏領インドシナで地理学を学ぶ滝口鞠は、外務書記生の植田、商社マンの紺野、憲兵の前島達と関わり、植民地の非常な現実に触れていく。世界大戦の時代に生きる日本人女性の運命!?ーー

 

東南アジアが舞台の小説【あらすじ&レビュー】

「夜の獣、夢の少年」 ヤンシィー・チュウ(著)

夜の獣、夢の少年

1930年代、イギリス植民地時代のマラヤ(マレーシア)を舞台にした東洋幻想譚ミステリー

マレーシア第3の都市で、世界の半分以上の錫(スズ)鉱石を供給するキンタ渓谷の町「イポー」とその近くの「バトゥ・ガジャ」が舞台。

老医師に仕える11歳の少年とダンスホールでアルバイトをする女性ジー・リンと血の繋がらない兄弟のシンの物語が並行して進む。

周りで起こる変死事件の犯人の謎解きに、マレーシアの人虎伝説、中国の五常を絡めながら2つの物語がやがて交錯するが!?・・

レビュー

イギリス植民地マラヤは、1957年、マレーシアとして独立、建国するまでは、ポルトガル、オランダ、イギリスなどの植民地となってきました。

その当時の情景や風俗の描写など、オリエンタルな雰囲気の漂う作品でした。

謎解きとしても理屈が通っており、そこそこ面白かったです。

徐々に不気味な存在として存在感の出てくる人物などもいて、先行きが読めない展開でした。

主人公のジー・リンと11歳の少年、このどちらでもない人物が主人公のような役割となり、その周りで不可解な変死などの事件が次々と起きます。

イギリス人コミュニティの関わりなども最後まで読むと出てきて、植民地時代を感じました。

中国、儒教の五常(人が備えるべきとされる5つの徳。「仁・義・礼・智・信」)を物語に絡めるなど、中華系マレーシア人作家ならではの要素も良かったです。

スズ鉱石やゴム農園など、マレーシアの産業を支える要素など地域情報、空気感も記述されていて、作家のポテンシャルの高さを感じました。