不条理文学と言われる小説のおすすめ作品をまとめています。
ノーベル文学賞作家の理不尽ながら、ユーモアのある作品など。
カフカ、ハムルス、サミュエル・ベケット、ジョーゼフ・ヘラーなどの不条理小説。
不条理文学とは!?
不条理文学とは、「不条理」な状況に追い込まれている、「理不尽」な出来事に遭遇している様子が描かれた文学のことを言います。
小説においての不条理とは、突然、わけの分からない状況に追い込まれる物語や社会的不条理を題材(テーマ)にした小説も多く出版されています。
社会的な状況が不条理を生み出している現実を描いている作品が刊行されています。
不条理文学の代表作
「ハルムスの世界」 ダニイル・ハルムス(著)
ソ連初期のシュルレアリスト、不条理詩人として知られる不条理文学の先駆者
代表作で、生前未刊行の10編の短篇集
ロシア・アヴァンギャルドの終焉に燦然と輝くハルムスは、ロシア、欧米諸国でカルト的な人気です。長くソ連で当局に禁止されていました。
ミニマルな文体、意味と無意味の戯れ、ユーモアと不条理
「審判」 フランツ・カフカ(著)
「城」「アメリカ」と、長編3部作をなす未完の傑作
銀行員Kは、ある日突然、逮捕される。理由はわからない。正体不明の裁判所と罪を知らないKの果てしない問答が続くが!?・・
「ゴドーを待ちながら」 サミュエル・ベケット(著)
ノーベル文学賞作家の不条理演劇の金字塔
ゴドーを待つ。2人組のホームレス・エストラゴンとヴラジーミルは、救済者・ゴドーを待ちながら、暇つぶしに興じているーー 人はむしょうにおしゃべりになる・・
「夷狄を待ちながら」 J・M・クッツェー(著)
ノーベル賞受賞作家の不条理小説
カフカ的な「不条理」を感じる1冊
野蛮人は攻めてくるのか!?ーー 静かな辺境の町。首都から治安警察の大佐が来て、悲惨な拷問が始まる。決して来ない夷狄を待ちながら・・
「キャッチ=22」 ジョーゼフ・ヘラー(著)
ブラック・ユーモアで戦争の狂気を描く戦争文学の名著
「キャッチ22」という言葉 = 不条理を表す言葉として一般に使われるようになった。
第二次世界大戦末期、地中海の小島に駐留する米空軍基地。ヨッサリアン大尉の願いはただ一つ、生き延びること。仮病を使い、狂気を装い、なんとか出撃を免れようとするが!?・・ 現代社会の不条理を風刺するアメリカ文学の傑作。
「偶然の音楽」 ポール・オースター(著)
現代アメリカ文学を代表する作家による不条理な文学
妻に去られたナッシュに、突然、遺産が転がり込んだ。丸1年、彼は、赤いサーブでアメリカ全土を回り、謎の若者・ポッツィと出会う。旅自体が目的の旅をするナッシュの理不尽な衝撃と虚脱感に満ちた物語。
ポール・オースターは、2024年に亡くなりました。
「帰れ、カリガリ博士」 ドナルド・バーセルミ(著)
実験的な不条理小説
ポストモダン作家、ドナルド・バーセルミの処女作で、短編集。
トマス・ピンチョン、ジョン・バースと並び、三羽烏と言われるポストモダン文学作家のひとり、ドナルド・バーセルミの代表作。
「夜の果てへの旅」 ルイ=フェルディナン・セリーヌ(著)
世の理不尽さ、社会の不条理ーー
フランス人の医学生・バルダミュは、第一次大戦の前線に、志願兵としておくり込まれる。戦地で、腐乱死体と汚泥にまみれ、希望を失う。そして、アフリカの植民地、アメリカの工業地帯へと地獄めぐりの放浪へ旅立つが!?・・
「老人と犬」 ジャック・ケッチャム(著)
ケッチャムの老人小説
川釣りを楽しんでいた老人と愛犬。そこに3人の少年が近づいてきて、老人にショットガンを向け、金を出せと脅す。老人がはした金しか持っていないことを知ると、少年は突然、犬に発砲し、頭を吹き飛ばした。少年たちは笑いながらその場を立ち去る。あまりにも理不尽な暴力に、老人は行動を開始するが!?・・
「砂の女」 安部 公房(著)
読売文学賞 受賞作
〈不条理〉な状況を描いた名作
昆虫採集のため、砂丘に出かけた男が、砂穴の底に埋もれていく一軒家に閉じ込められる。男は、あらゆる方法で脱出を試みるが、男を穴の中に引き留めておこうとする女。そして、穴の上から男の逃亡を妨害し、2人の生活を眺める村の人々・・