2025年発売の新刊から、おすすめの小説をまとめています。
ミステリー以外のジャンルのおすすめ新刊作品を掲載しています。
マジックリアリズム小説や感動作、中国語文学の傑作など。
6月発売のおすすめ新刊
「ムーア人による報告」 レイラ・ララミ(著)
実在の報告書を元に実在した奴隷の視点から再構築
1528年、スペインの征服者(コンキスタドール)のナルバエス率いる探検隊は、現在のフロリダ州に上陸、インディオの村で金塊を発見し、金の出所と思われる都を探す。モロッコ出身の黒人奴隷・ムスタファは、探検隊に同行していたが、探検隊は病気、物資不足、人肉食、部族の襲撃などで壊滅し!?・・
「ドナウ川五つの驚異 」 ゾラン・ジヴコヴィチ(著)
旧ユーゴスラビア生まれのセルビア作家の文豪・ゾラン・ジヴコヴィチの最新作
5つの奇妙で驚きに満ちた連作短篇幻想譚
ドナウ川にかかる橋を舞台に、不思議な出来事を描く連作短篇集。「ドナウ川」は、当時のセルビア副首相からの依頼で執筆された作品。
「盲目の梟」 サーデク・ヘダーヤト(著)
ブルトンが絶讃した狂気と幻覚の手記
ペルシア語文学史上に現われた「モダニズムの騎士」による代表作を含む中短篇集
20世紀イランを代表する作家で、イラン現代文学の確立に大きく貢献した作家
ドストエフスキー、カフカ、ポーなどの西欧文学と、仏教のニルヴァーナ、イランの神秘主義などの東洋思想が融合した表題作と、紀行文「エスファハーンは世界の半分」などを収録。
注目!「ジェイムズ」 パーシヴァル・エヴェレット(著)
[2024年] 全米図書賞 受賞作
ニューオリンズ、ミシシッピ川。ハックルベリー・フィンの冒険を、奴隷のジムの視点から描いた作品
7月発売のおすすめ新刊
「父の四千冊:アイスランドのアーティストによる回想」 ラグナル・ヘルギ・オウラフソン(著)
[2018年] アイスランド文学賞【ノンフィクション部門】ノミネート
アイスランドのアーティストである著者が、父の遺した大量の蔵書と向き合う日々を綴った、書物と喪失をめぐるメモワール
出版社を経営していた父親が他界して8年。遺された四千冊の蔵書。アイスランドの名もなき人びとによる膨大な記録の書。大量の蔵書と向き合う日々は、やがて著者を思わぬところへと連れていく!?・・
「修道院覚書:バルタザールとブリムンダ」 ジョゼ・サラマーゴ(著)
ノーベル賞作家サラマーゴの最高傑作【新訳決定版】
左手を失った帰還兵・バルタザールと、不思議な力を持つブリムンダの愛の物語。
「第七問」 リチャード・フラナガン(著)
ベイリー・ギフォード賞 受賞作
「奥のほそ道」で、ブッカー賞を受賞した著者の最新作
終末的未来を描いた小説家、原爆開発の端緒を開いた物理学者、〈死の鉄路〉から生還した父と家族、流刑地だった国と人々の歴史を描くーー
8月発売のおすすめ新刊
「南洋人民共和国備忘録」 黄 錦樹(著)
マラヤ共産党をめぐる24篇ーー
マレーシア華人の集団の記憶とトラウマ。マレーシア華人作家の最新作。日本オリジナル編集で発売。
「アントカインド」 チャーリー・カウフマン(著)
「マルコヴィッチの穴」「エターナル・サンシャイン」のアカデミー賞作家・カウフマンの初小説が、ついに日本上陸
トランプ復活&暴走を予言!?ーー
奇想天外で危険な〈読むカルト映画〉。ポストモダンの饒舌思考。制作期間90年・上映時間90日の「究極の映画」の謎をめぐり、記憶の深淵へーー
「人生観を変えてくれる、ユニークで大胆な傑作。“人生”に対して幻想と矛盾を抱える、すべての迷える人におすすめしたい」 by フランシス・フォード・コッポラ
5月発売のおすすめ新刊
注目!「水脈を聴く男」 ザフラーン・アルカースィミー(著)
[2023年] アラブ小説国際賞 受賞作
オマーン生まれの小説家の作品。4作目の作品が、アラブ小説国際賞を受賞しました。
井戸で発見された溺死体から取り出された胎児。水源を探し当て、村を旱魃から救った少年の評判は遠方までどどろき、「水追い師」として各地で引き手あまたとなるが!?・・
「極北の海獣」 イーダ・トゥルペイネン(著)
ヘルシンギン・サノマット文学賞 受賞作
18世紀ロシア、19世紀アラスカ、現代フィンランド・・
絶滅した巨大海棲動物・ステラーカイギュウを巡る冒険譚。3世紀に渡り情熱を燃やす人々が歴史を変える!?・・
注目!「海風クラブ」 呉 明益(著)
[2023年] 台湾書店大賞【小説賞】受賞作
現代台湾文学を牽引する作家の最新作
神話と現実が混じりあう感動巨編ーー
白い犬のあとを追いかけてきたタロコ族の少年と、父親から逃げてきた少女。2人は、山の深い洞穴で出会う。そんな山は、巨人の体であった。最後の巨人・ダナマイの言葉を解すのは、傷を負った動物たち。舞台は、原住民と漢人、祖霊と神が宿る台湾東部の海豊村。村では、山を切り崩すセメント工場の計画が持ち上がり、巨人と人間の運命が再び交差し!?・・
「雨雲の集まるとき」 ベッシー・ヘッド(著)
人間の本質を描いたアフリカ文学の傑作
貧困、開発、宗教、民主主義、ジェンダー、部族主義と向き合いながらーー
アパルトヘイト時代の南アフリカ。ジャーナリストの青年・マカヤは、政治犯として刑務所で2年間を過ごしていた。国境フェンスを乗り越え、新たな人生へ踏み出すために闇に紛れていた。辿り着いたのは、独立前夜の隣国ボツワナの村ホレマ・ミディ。しかし、非人間的なアパルトヘイト社会の南アフリカとは違う自由の国であるはずのボツワナにも、抑圧者は存在した・・
注目!「至上の幸福をつかさどる家」 アルンダティ・ロイ(著)
インドのブッカー賞作家の20年ぶりの新作長編小説
ヒジュラーのアンジュムは、荒廃した墓場に家を建てて住み始めた。やがて、家はゲストハウスになり、そこで様々な傷を抱えた人々の人生が交錯する。カシミールでの紛争、首都の抗議運動など、現代インド史の出来事を寓話的に織り交ぜながら!?・・
「ペネロピアド・女たちのオデュッセイア」 マーガレット・アトウッド(著)
ブッカー賞作家によるギリシア神話の壮大な叙事詩
ギリシャ神話で有名なペネロペイアについて描いた小説。トロイの英雄・オデュッセウスを待ち続けた妻・ペネロペイア。長年待ち続けた彼女の本心と、殺された12人の女中の真実とは!?・・
4月発売のおすすめ新刊
「タイヤル・バライ」 トマス・ハヤン(著)
台湾原住民族を理解するための1冊
タイヤル族が現実世界で味わった怪異現象や荒唐無稽な出来事とは!?ーー
植民統治下で起こったタイヤル族は、自分たちの心の核心である文化を、どのように直視したのか。幽霊の対話が異なる時空を行き来しながら、物語が進んでいく。植民統治下に命を落としていった霊魂を救済する台湾原住民文学の秀作。
「ゴライの悪魔」 アイザック・バシェヴィス・シンガー(著)
ノーベル文学賞作家・シンガーの処女長篇
1648年、邪悪なウクライナ・コサックの首領ボグダン・フメリニツキーと、その配下により壊滅した辺境の町ゴライ。その住民を、偽メシアが翻弄する。そこに悪魔が!?・・
「非在の街」 ペン・シェパード(著)
傑作幻想小説
元地図学者見習いのネルは、ニューヨーク公共図書館の高名な地図学者である父の死を知らされる。彼は、平凡な一枚の道路地図を大切に隠していた。しかし、その地図の複製は、あらゆる所蔵機関から失われていた。ネルは地図の秘密を探っていくが、その地図は、隠された世界への招待状だった!?ーー
「血統書」 パトリック・モディアノ(著)
ノーベル文学賞作家の文学的自伝
わたしは血統書をもっているようなふりをする一匹の犬なのだーー
ドイツ占領下のパリ。混乱の時代。フランス当局の「ユダヤ人狩り」を逃れながら闇市に暗躍した父親の怪しげな行動、子供を放り出して舞台や巡業あるいは、遊びに飛び回る母親。両親に放り出された孤独を生きながら、作家として立つ22歳までの日々とは!?・・
「割れたグラス」 アラン・マバンク(著)
現代アフリカ文学のヒップスター、コンゴ共和国出身の著者の代表作
数々の文学賞に輝く1冊
コンゴ共和国の港湾都市のバー。ツケ払いお断り”の主人《頑固なカタツムリ》の依頼で、《割れたグラス》は、常連客たちとの日々を一冊のノートに書き留めていく。何枚ものオムツを穿いた《パンパース男》、誰よりも長く放尿できると豪語する《蛇口女》など酔客たちの奇怪な逸話と、自身についても書きはじめ!?・・
3月発売のおすすめ新刊
「彼女を見守る」 ジャン=バティスト・アンドレア(著)
【2023年】仏ゴンクール賞 受賞作
両大戦間の激動の時代を生きる2人の恋愛模様
第一次世界大戦後、イタリア北西部の村。貧しい家に生まれた石工の弟子・ミモ。城館に住む侯爵家の娘・ヴィオラ。出会う筈のない2人は惹かれあうが!?・・
「テオドラ:女優からビザンツ皇后、聖人へ」 デイヴィッド・ポッター(著)
ビザンツ帝国の皇后・テオドラの生涯ーー
ラヴェンナの有名なモザイクで知られる、ビザンツ帝国の皇后テオドラ。ユスティニアヌスの片腕として、多くの障害を乗り越え、信じがたい権力を手にする。初期ビザンツ研究の成果を取り入れ、踊り子から、重大な宗教論争の解決のために中心的な役割を果たし、旧西ローマ帝国領の再征服や教会の統一などのユスティニアヌスの治績に、関与した生涯を見つめなおす。
2月発売のおすすめ新刊
「FREE:歴史の終わりで大人になる」 レア・イピ(著)
アルバニアに育ったLSE政治理論教授の哲学的自伝
社会主義下のアルバニア。粛清と困窮の仲で、自由への期待に満ちた少女時代。1990年、抗議行動の高まりで一変するが!?・・ 自由選挙、市場開放、構造改革、移民増加など、政治と民主主義とは!?ーー
注目!「虚言の国 アメリカ・ファンタスティカ」 ティム・オブライエン(著)
ピュリッツァー賞候補作家の20年ぶりの奇想天外な物語
虚言症が蔓延するアメリカで、稀代の嘘つき男が仕掛ける!?ーー
中年男・ボイドは、一流のジャーナリストからフェイクニュースの王に転落する。カリフォルニアの田舎町で、デパートの店長をしている彼は、地元銀行のアンジーに銃をつきつけ、8万1千ドルと彼女を連れ、逃避行に出る。アメリカを縦断するボイドと、大富豪、悪徳警官、美人妻、殺人者など、追う者と追われる者が入り乱れ、全米を疾走するが!?・・
「君のためなら千回でも」 カーレド・ホッセイニ(著)
世界800万部突破
120週連続でNYタイムズ紙ベストセラーIN
1975年、アフガニスタン。裕福な家に生まれた僕は、召使いのハッサンと兄弟のように育つ。凧合戦の日、「君のためなら千回でも!」と凧を追いかける彼を、僕は裏切ってしまう・・ 2001年、911テロ直前の米国で、僕は一本の電話を受ける。それは、償いの旅の始まりとなり!?・・
1月発売のおすすめ新刊
「美は傷」 エカ・クルニアワン(著)
マジックリアリズム文学の大河小説
ジャワ南部の港町に生まれた娼婦・デウィ・アユ。その一族を襲った悲劇。植民地統治、占領、独立、政変など、暴力の歴史と共に、神話、伝説、寓話などが絡み合う奇想天外な物語。
「あの図書館の彼女たち」 ジャネット・スケスリン・チャールズ(著)
図書館員達の勇気と絆を描く感動作
1939年パリ。アメリカ図書館の司書に採用された20歳のオディール。本好きな彼女は、館長や同僚達との絆を深めていく。しかし、ドイツとの戦争が始まり、図書館は、病院や戦地にいる兵士に本を送るプロジェクトを開始する。やがてドイツ軍がパリを占領し、ユダヤ人の利用者に危機が訪れ!?・・
「動物工場」 ノヴァイオレット・ブラワヨ(著)
ジンバブエ版「動物農場」
アフリカにある動物達の王国・ジダダ。植民地支配から民を救った建国の父・オールド・ホースの政権誕生40周年を迎える。しかし、この栄光の影で犠牲となる者達を、ジダダの民たちは気づいていた!?・・
「城南旧事」 林海音(著)
「台湾文学の祖母」と言われる作家の中国語文学の傑作
幼少期を過ごした北京での思い出を基にした自伝的小説
1920年代、北京。1920年代北京。台湾から引っ越してきた少女・英子は、北京の伝統的な街並み・胡同(フートン)の中を駆け回る。激しく変化する時代に翻弄されながら、生活する人々を描いた教科書にも掲載される1冊。