プロレタリア文学(労働者小説)5選|全米図書賞、ピュリツァー賞などを受賞の作品

プロレタリア文学と言われる代表的な小説をまとめています。

全米図書賞、ピュリツァー賞受賞作の名作やプロレタリア文学の金字塔と言われる作品。

単純に、労働を描いた労働者小説も掲載しています。

プロレタリア文学とは!?

プロレタリア文学とは、資本主義社会での労働者の苦境、思想、意識要求、感情を描いた文学です。

社会主義や共産主義の考えをもとに労働運動の立場に立っている文学です。無産者文学とも言います。

1920年代~1930年代にかけて流行し、戦前の日本でも流行しました。

「プロレタリア」とは、労働者、無産者のことで、その反対が、資本家・有産者で「ブルジョア」と言います。

財産を持たず、社会的な狭い人々のことを、プロレタリアート(無産階級)と言います。

無産者、いわゆる財産を持たず、社会的な狭い人々のことを、プロレタリアートといいます。

 

プロレタリア文学

「天国の南」 ジム・トンプスン(著)

天国の南
文遊社
発売日:2017/8/1

20年代のテキサスの西端ーー

ホーボー(渡り労働者)として、若きトンプスンが体験した最も過酷な労働の現場。パイプライン工事に流れ込む放浪者、浮浪者、前科者・・

 

「チャイナ・メン」 マキシーン・ホン・キングストン(著)

チャイナ・メン
新潮社
発売日:2016/6/26

[1981年] 全米図書賞 受賞作

19世紀から20世紀。アメリカを目指し海を渡った中国人たち。鉄道建設や鉱山労働に従事し、アメリカの繁栄の礎を築いたが、深い沈黙の向こう側へ消えていったーー その末裔の女性作家による一族の物語。

 

「怒りの葡萄」 ジョン・スタインベック(著)

怒りの葡萄
早川書房
発売日:2014/12/19

[1940年] ピュリッツァー賞 受賞作

ノーベル賞作家の不朽の名作の25年ぶりの新訳

社会の不条理を批判し、プロレタリア文学のひとつの代表作として位置づけられるー

世界恐慌と重なる1930年代、米国・オクラホマ州。砂嵐により、先祖が開拓した農地は耕作不可能となった。大銀行に土地を奪われた農民たちは、オクラハマを追われ、新天地・カリフォルニアを目指すが!?・・

 

「蟹工船」 小林 多喜二(著)

蟹工船
新潮社
発売日:2008/8/29

プロレタリア文学の金字塔

カムチャッカ沖での蟹漁。蟹工船の内部。労働環境に苦しむ労働者たちは、集団として団結し抵抗し、闘争に立ち上がる。しかし、監督は「帝国海軍」を使い、彼らを弾圧し!?・・

日本のプロレタリア文学の代表的な作家として、国際的な評価も高い。

 

「工場」 小山田 浩子(著)

工場
新潮社
発売日:2013/3/29

プロレタリア小説ーー表題作「工場」

ひとつの街に匹敵する規模の巨大工場。牛山佳子は、書類廃棄に励み、佳子の兄は、雑多な書類に赤字を施す。労働に励むが、この仕事は何故、必要なのか!?・・

 

労働者小説

「郵便局」 チャールズ・ブコウスキー(著)

郵便局
光文社
発売日:2022/12/13

チャールズ・ブコウスキーの半自伝的要素を詰め込んだ労働小説

労働をテーマにした初めての小説とも言われています。

郵便配達人になってみるが、めちゃくちゃキツい・・。ボスを意地悪だし、正職員は、雨の日や配達量が多い日には欠勤してしまう。。 それでも働き、飲み、女性と過ごすが!?・・

 

「愚か者同盟」 ジョン・ケネディ・トゥール(著)

愚か者同盟
国書刊行会
発売日:2022/7/28

【1981年】ピュリツァー賞 受賞作

デビッド・ボウイも影響を受けた爆笑《労働ブラックコメディ》

全世界200万部超のロングセラーのアメリカカルト文学史上の伝説的傑作

1960年代ニューオーリンズ。30歳、無職のイグネイシャスは、実家に暮らしていた。しかし、母が交通事故で借金を負い、イグネイシャスは、渋々、就活を始める。しかし仕事先で!?・・

 

「ワインズバーグ、オハイオ」 シャーウッド・アンダーソン(著)

ワインズバーグ、オハイオ
新潮社
発売日:2018/6/28

プロレタリア文学、労働者小説ではありませんが、労働者の現状に迫った1冊

オハイオ州の架空の町ワインズバーグを舞台にした連作短篇集

ホワイト・トラッシュと呼ばれる貧しい労働者の実態に迫った作品。発展から取り残された町に生きる人々とは!?・・



【天国の南】あらすじ&レビュー

天国の南

テキサスが舞台のプロレタリアン・ノベル

ノワール小説ではなく、トンプスンには珍しい労働者小説(プロレタリア文学)です。

読了レビュー

石油パイプライン現場の物語で、そこそこ面白かったです。

パイプライン敷設工事での過酷な労働環境の話です。自伝のような小説でした。

石油パイプラインで働いたことのある著者だからこそ書けた小説だと思います。

テキサスという地での暗黒のような労働実態が世界観として出ていました。

以前読んだ、北欧ミステリの巨匠へニング・マンケルの「北京から来た男」の大陸横断鉄道の敷設現場の過酷さと似たような感じがしました。