ピカレスク・ロマン(悪漢小説)の古典的源流と日本の作品を掲載しています。
16~17世紀にスペインで生まれたピカレスク小説。悪漢・ピカーロを語源に、ヨーロッパに広まりました。
そんなピカレスク小説の起源である古典の名作や、日本のピカレスクロマンをまとめています。
ピカレスク小説とは!?
ピカレスク小説とは、16世紀~17世紀のスペインで流行し、ヨーロッパに広がった小説の形式のことをいいます。
悪漢小説、悪者小説、悪漢譚、ピカレスクロマンとも呼ばれます。
ピカロを語源とし、スペイン語で「悪党」「ごろつき」「小悪党」を意味します。
社会の下層にうごめき、放浪に近い暮らしをし、反社会的な手までを使い、生き延びようとする悪党、悪者を主人公にした作品が特徴です。
古典(源流)のピカレスクロマン(悪漢小説)
「ラサリーリョ=デ=トルメスの生涯」 会田 由(翻訳)
ピカレスク小説(悪漢小説)の起源として代表作と言われる(作者不明)
16世紀半ばにスペインで書かれ、その後のピカレスク小説の模範とされた作品ーー
貧しい少年・ラーサロは、7人の聖人・俗人に仕えるが、誰ひとり、偽善の仮面の下に疑わしい品性を隠していない者はなかった。
「ピカロ ーグスマン・デ・アルファラーチェの生涯ー」 マテオ・アレマン(著)
「ドン・キホーテ」の作家・セルバンテスとも縁の深い作家
ピカレスクの語源となった「ピカロ」は、「悪者」と訳されます
主人公のグスマンが、悪行の数々を告白し!?・・ 反省・弁明に終始することも多く、悲観主義とも言われる作品。
「セビーリャの色事師と石の招客」 ティルソ・デ・モリーナ(著)
スペイン黄金世紀の劇作家による戯曲
漁色放蕩の典型的人物として世界文学に籍を得た「ドン・フアン」を、文学上の典型的キャラクターとして定着させた戯曲「セビリアの色事師と石の招客」で原型を確立した。
文学的源泉「セビリアの色事師と石の招客」や、代表作の一つ「緑色のズボンをはいたドン・ヒル」を収録。
「ピカレスク小説名作選」 フランシスコ デ・ケベード(著)
「ペテン師ドン・パブロスの生涯」フランシスコ・デ・ケベード(著)を収録
同時代の「ラサリーリョ・デ・トルメスの生涯」と並ぶ代表的な悪漢小説。
17世紀スペインの傑作ピカレスク小説で、卑しい出自のパブロスが成り上がりを目指し、陰謀を巡らし貴族社会へ参入を試みる様を描いた悪漢小説(ピカロ)の代表作。
「阿呆物語:シンプリキシマスの冒険」 ハンス・ヤーコプ・クリストッフェル・フォン・グリンメルスハウゼン(著)
ドイツ文学史上初のピカレスクロマン
主人公の成長と30年戦争の戦乱期の社会層を立体的に描き出した全6部ーー
30年戦争期の神聖ローマ帝国領・ドイツ。少年・シンプリキシマスは、戦火で家族と故郷を失う。少年は、傭兵、強盗団、宮廷、僧院など、多様な世界を渡り歩いて成長するが!?・・ 作者自身の体験を下敷きに、過酷な戦争の実相や身分制度の矛盾を描いた1冊。
「メルヒオール・ドロンテの転生」 パウル・ブッソン(著)
ピカレスクな冒険と神秘転生譚
悪魔の誘惑、処刑台の悪夢、ワルプルギスの魔宴、交霊術、予言と幻視など、超自然・オカルト的要素が満載の物語
ゼノン・フォラウフには、前世の記憶があった。彼は、18世紀ドイツの男爵家の息子、メルヒオール・ドロンテであり、幼い頃、回教僧の蠟人形に命を救われていた。そして、舞台は大革命下のパリへ!?ーー
「夜の果てへの旅」 ルイ=フェルディナン・セリーヌ(著)
近代的なピカレスク小説(悪漢小説)の傑作
世の理不尽さ、社会の不条理ーー
フランス人の医学生・バルダミュは、第一次大戦の前線に、志願兵としておくり込まれる。戦地で、腐乱死体と汚泥にまみれ、希望を失う。そして、アフリカの植民地、アメリカの工業地帯へと地獄めぐりの放浪へ旅立つが!?・・
「プラハの墓地」 ウンベルト・エーコ(著)
知の巨人、ウンベルト・エーコの陰謀小説
「偽書」とされる「シオン賢者の議定書」をめぐる悪漢小説(ピカレスクロマン)
ナチスのホロコーストを招いた「シオン賢者の議定書」。この文書をめぐる、文書偽造家・シモーネ・シモニーニの回想録の形をとった作品。彼以外の登場人物は、ほとんどが実在の人物。19世紀ヨーロッパを舞台に繰り広げられる緊迫感溢れる物語。
日本のピカレスクロマン(悪漢小説)
「蘇える金狼」 大藪 春彦(著)
日本のハードボイルド・ピカレスク小説の第一人者
ピカレスクの極致といわれる作品
東京オリンピック直前の熱気あふれる東京が舞台のハードボイルドアクション
昼は平凡なサラリーマン、しかし、夜は反逆の一匹狼。「東和油脂」経理部に勤める朝倉哲也は、控えめで真面目な男だが、それは彼の壮大な野望を隠すための仮面だった。朝倉は、夜ごと特殊技能の習得と情報収集に励んでいた。私利を貪る上役たちに成り代わり、会社を我が物にできるか!?ーー
「麻雀放浪記」 阿佐田 哲也(著)
ピカレスク(悪漢)小説の巨匠
麻雀に生きる男たちを描くピカレスク・ロマンの大傑作
敗戦直後、焦土と化した東京で、全てを失った“坊や哲”。戦中の勤労動員で知り合った“上州虎”と再会し、博打世界へ入り込んでいく。博打の賭場での出会いを通じて、麻雀打ちとして生きることになるが!?・・
「不夜城」 馳 星周(著)
日本の現代文学にピカレスク・ロマン(悪漢小説)の潮流を持ち込んだ作家
アジア屈指の歓楽街・新宿歌舞伎町。劉健一は、そこで中国人黒社会を器用に生き抜く。しかし、上海マフィアのボスの片腕を殺し逃亡していたかつての相棒・呉富春が町に戻り、事態が変わり!?・・
「白昼の死角」 高木 彬光(著)
日本の推理文壇において、ひと際、異彩を放つ悪党小説
1959年に公表された東大生による闇金融事件「光クラブ事件」がモデルの作品
完全犯罪を繰り返す天才的知能犯・鶴岡七郎。明晰な頭脳にものをいわせ、巧みに法の網の目をくぐる。最後まで警察の追及をかわしきった悪行の数々を冷徹に描く。
「墓頭 – ボズ」 真藤 順丈(著)
「宝島」で直木賞を受賞した作家のピカレスクロマン
九龍城が舞台のピカレスクロマン小説ーー
周りの人間を死においやる宿命を背負った男ー「墓頭」と呼ばれた男の生涯を描く物語。インド洋の孤島におもむいた「僕」は、「墓頭ーボズ」と呼ばれる男の一代記を聞き・・香港九龍城やカンボジア内戦を経て!?・・
「ジェントルマン」 山田詠美(著)
第65回(2012年)野間文芸賞 受賞作
切なくも残酷な究極のピカレスク恋愛小説
文武両道で完璧な優しさを持つ青年・漱太郎(そうたろう)。しかし、ある日、同級生の夢生は、その悪魔のような本性を垣間見る。夢生は、漱太郎の罪を知るただひとりの存在として、彼を愛し守り抜くと誓うが!?・・
「ミノタウロス」 佐藤 亜紀(著)
第29回 吉川英治文学新人賞 受賞作
帝政ロシア崩壊直後のウクライナが舞台のピカレスク小説
ウクライナ地方。地主の次男坊・ヴァシリの書物に耽溺した生活は、父の死で一変した。生き残るため、ドイツ兵らと共に、略奪、殺戮をくり返し、激動の時代を疾走するが!?・・
「悪の教典」 貴志 祐介(著)
山田風太郎賞 受賞作
このミステリがすごい!2011年版【国内篇】第1位
ピカレスクロマンの輝き秘めた傑作サイコホラー
晨光(しんこう)学院町田高校の英語教師、蓮実聖司は、爽やかさとルックスの良さで、生徒だけでなく、同僚、PTAをも虜にしていた。しかし、彼は、邪魔者を躊躇なく排除する殺人鬼だった。。有能な教師が、実はサイコパスだったとしたら!?ーー
ロボット・ピカレスクロマン
「ロボットの魂」 バリントン・J. ベイリー(著)
前代未聞のロボット・ピカレスクロマン
ロボットに意識は存在するのか!?を描いた作品
老「ロボット師」夫妻の手でこの世に生をうけた1体のロボット・ジャスペロダス。地上にあふれる数多のロボットと違い、彼はひとつの疑問を抱いていた。ロボットである自分に“意識”は存在しているのだろうか!?・・
「チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク」 ジョン・スラデック(著)
英国SF協会賞 受賞作
SFが読みたい・ベストSF 2023【海外篇】第1位
ロボット・ピカレスク
ロボットのチク・タク。人間の安全のため、ロボット達には三原則を遵守させる「アシモフ回路」が組み込まれていたが、チク・タクには回路が作動していなかった。やがてチク・タクは、人間への「実験」(殺人、強盗、扇動など)を開始し!?・・


















