【ニュー・ウェーブ作家10人】文学的、芸術的な形式と内容の実験的な作品

ニューウェーブ世代作家

ニュー・ウェーブ作家の代表的な人物とその作品をまとめています。

J・G・バラードを筆頭に、知名度の高いルグィン、ティプトリーJrの名作など。

内宇宙をめざすSFやファンタジィ傾向のある小説を掲載しています。

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ニューウェーブ運動とは!?

1960年代に発生し、70年代にかけて文学的、芸術的な形式と内容において実験的な作品を生み出しました。直訳すると「新しい波」となります。

SFのジャンルにおける運動を言います。

インナー・スペース(内宇宙)としてのSF作品が、多く出版されています。

J・Gバラードは、「SFは外宇宙より内宇宙をめざすべきだ」と言い、スペキュラティブ・フィクション(思弁小説)という新しいSFの形式を呼び掛けました。

J・G・バラード、ブライアン・オールディスなどと並び、アーシュラ・K・ル・グィン、ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアなど、女流作家の勢いがあった時代でもあります。

女性作家の特徴に、ファンタジィよりの作品が多いことが挙げられます。



ニュー・ウェーブ作家の代表的人物

J・G・バラード

「旱魃世界」 J・G・バラード(著)

旱魃世界
東京創元社
発売日:2021/3/19

ニュー・ウェーブの代表的作家

「沈んだ世界」「結晶世界」と共に、〈破滅三部作〉のひとつ

<終末>を描いた著者の代表作-本邦初訳

世界的な旱魃が、各地で急速に文明社会を崩壊させつつあった。マウント・ロイヤル市の住人達は、競うように水を求め、海岸へと殺到する。医師のランサムは、市内に留まり、破滅まで引き延ばされた時間を緩慢と生きていたが!?・・

 

ブライアン・W・オールディス

「地球の長い午後」 ブライアン W.オールディス(著)

地球の長い午後
早川書房
発売日:1977/1/28

ヒューゴー賞 受賞作

イギリスSF界を代表する巨匠の名作

植物の王国と化した地球の姿。大地を覆い尽くすのは、巨木の世界だった。人類は、かつての威勢を失い、支配者の植物のおかげで、細々と生き延びる存在に成り果てていた・・

 

ハーラン・エリスン

「死の鳥」 ハーラン・エリスン(著)

死の鳥
早川書房
発売日:2016/8/5

アメリカSF界に君臨するレジェンドの代表作10篇を収録した日本オリジナル傑作選

ヒューゴー賞 / ローカス賞に輝いた表題作「死の鳥」、コンピュータ内部に閉じこめられた男女の驚異の物語――「おれには口がない、それでもおれは叫ぶ」、初期の代表作「「悔い改めよ、ハーレクィン!」とチクタクマンはいった」など..

 

サミュエル・R・ディレイニー

「アインシュタイン交点」 サミュエル・R. ディレイニー(著)

アインシュタイン交点
早川書房
発売日:1996/6/1

ネビュラ賞に輝く幻の名作

著者の神話2部作とも呼ばれている代表作のひとつ

遠未来の地球。消え失せた人類に代わり、異星生物が文明を再建しようと住みついていた。不思議な青年・ロービーは、人の心を音楽で奏でることができた。恋人の死を機に旅に出た彼は、古代のコンピュータ、ドラゴン使い、海から来た暗殺者などとの出会いを経て、世界の謎を解き明かしてゆく!?・・

 

ロジャー・ゼラズニイ

「ロードマークス」 ロジャー・ゼラズニイ(著)

ロードマークス
新紀元社
発売日:2024/12/9

ニュー・ウェーブ作家の代表的人物、ロジャー・ゼラズニイの傑作

緊迫のロードノヴェル

レッド・ドラキーンは、トラックのドライバーで、過去と未来を行き来できる「道」を疾走していた。しかし、彼を暗殺するため、「黒の十殺」が追いかけ!?・・

 

トマス・M・ディッシュ

「SFの気恥ずかしさ」 トマス・M・ディッシュ(著)

SFの気恥ずかしさ
国書刊行会
発売日:2022/12/16

アメリカのニュー・ウェイブ作家、トマス・M・ディッシュの傑作SF評論集

SFの限界と可能性を論じた名講演「SFの気恥ずかしさ」をはじめ、新世代SF作家を批判した伝説的評論「レイバー・デイ・グループ」、書評家として燃やすべき本を鋭く語った「聖ブラッドベリ祭」など、技巧とユーモアに満ちた書評・エッセイ。



女流作家の傑作

アーシュラ・K・ル・グィン

「影との戦い:ゲド戦記1」 アーシュラ・K. ル=グウィン(著)

影との戦い:ゲド戦記1
岩波書店
発売日:2009/1/16

ファンタジーの手法で描かれる教養小説(ビルドゥングスロマン)

大賢人・ゲドの若き日の物語。大魔法使い・オジオンに才能を見出された少年・ゲド。自分に並外れた能力が備わっていることを知り、魔法の学院に入る。しかし、禁じられた呪文を唱え、自らの〈影〉を呼び出してしまい、〈影〉との果てしない戦いに引き込まれていき!?・・

 

ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア

「愛はさだめ、さだめは死」 ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア(著)

愛はさだめ、さだめは死
早川書房
発売日:1987/8/1

ヒューゴー賞 / ネビュラ賞 受賞

ポスト・ニューウェーブのSF界で、最も重要な作家と言われるジェイムズ・ティプトリー・ジュニアの傑作短篇集

冬の到来におびえる異星種族の愛の儀式、コンピュータに接続された女の悲劇、ユカタン半島に不時着した男女を襲う意外な運命ーー 70年代のSF界を席巻した作家の1冊。

 

ヒューゴー賞、ネビュラ賞W受賞の「ヒューストン、ヒューストン、聞こえるか?」を収録したベストも。

老いたる霊長類の星への賛歌
早川書房
発売日:1989/6/1

 

ケイト・ウィルヘルム

「鳥の歌いまは絶え」 ケイト・ウィルヘルム(著)

鳥の歌いまは絶え
東京創元社
発売日:2020/4/30

ヒューゴー賞・ローカス賞・ジュピター賞の3賞 受賞作

ル=グィン、ティプトリー・ジュニアに並び称されるSF作家の代表作

滅亡に瀕する人類、クローンたちの王国ーー

放射能汚染で緩やかな滅びへと向かう地球上の生物群。そんな折、豊かな渓谷の一族が研究所を創り上げ、クローン繁殖の技術で滅亡を回避しようと試みる。しかし、誕生したクローンたちは、自意識が薄く、今までの人類の文化とは異なる王国を築きあげようとしていた・・

 

ジョアンナ・ラス

「テクスチュアル・ハラスメント」 ジョアンナ・ラス(著)

テクスチュアル・ハラスメント
インスクリプト
発売日:2001/2/1

文学作品に関するフェミニズム批評

女性作家が受けてきた誹謗中傷と、作品を貶める手口を図式化した問題作の全訳

テクスチュアル・ハラスメント(文章上の性的いやがらせ)を導入し、「女性の文学作品ととりまく言説空間を再考するには、一体、どうしたらよいのか」に思索をめぐらす1冊。