耽美主義&デカダンス(退廃主義)小説の代表的作品

耽美主義と退廃主義(デカダンス)の代表的作品を掲載しています。

耽美主義と退廃主義(デカダンス)は、19世紀後半に、フランス、イギリスを中心に展開された芸術・文学運動です。

それぞれの代表的作家と作品をまとめています。

耽美主義 & 退廃主義(デカダンス)とは!?

耽美主義と退廃主義(デカダンス)は、「美」を至高とする芸術思潮で、共に、関連する芸術思潮・芸術運動です。

耽美主義(Aestheticism)は、イギリスで起こり、「美」そのものを最高目的とし、道徳的・実用的な目的を超越した芸術至上主義です。

唯美主義、審美主義、アステティシズムとも言われます。

耽美主義者の代表的な人物に、オスカー・ワイルドがいます。

 

退廃主義(Decadence:デカダンスは、フランスで起こり、19世紀末の世紀末的な衰退や倦怠感、ペシミズムを背景に、病的な美、官能、死、悪、崩壊的な美への憧れを追求する傾向にあります。

日本では、デカダン派(退廃派)は、特に戦後(1940年代後半)に活躍した「無頼派」の作家たちを指す言葉となります。

 

【耽美主義文学】代表的作品

「ドリアン・グレイの肖像」 オスカー・ワイルド(著)

ドリアン・グレイの肖像
KADOKAWA
発売日:2024/8/23

耽美主義小説の代表的な作品【新訳】

純真な青年ドリアンは天使のような美貌を買われ、肖像画のモデルになる。しかし、快楽主義者・ヘンリー卿に、若さが有限だと気づかされ絶望。以来、青年に代わり、絵が歳老いていく。誰かを裏切れば絵は醜く歪み、破滅させれば邪悪に黒ずむ!?・・

 

「死霊の恋/化身 ゴーティエ恋愛奇譚集」 テオフィル・ゴーティエ(著)

死霊の恋/化身
光文社
発売日:2023/8/9

耽美主義の先駆と言われる人物の作品

フローベール、ボードレールらに愛された「文学の魔術師」ゴーティエによる官能の奇譚集

妖しい恋を描いた3編。聖職者としての人生が始まる瞬間に、絶世の美女の悪魔に見初められた男を描く「死霊の恋」、人妻に片思いする青年がインドの秘術を使って、その夫の肉体を乗っ取ろうと企てる「化身」、火山が残した乳房の型への恋心が青年を、滅びたはずのポンペイの町に迷1い込ませる「アッリア・マルケッラ」

 

「ビリティスの歌:古の乙女たちの秘園」 ピエール・ルイス(著)

19世紀末に書かれた抒情詩の集

古代ギリシャの視点を通じて愛と欲望のテーマを探求

パムフィリア出身の若い少女・ビリテスの人生。友情、嫉妬、情熱の経験を描き、友人・ムナシディカとの深い絆を描く。山間の村で、母親と姉妹と穏やかに育った幼少期から成長し、ニンフたちに魅了され、愛と嫉妬の感情を探求し始めるが!?・・

 

「氷島の漁夫」 ピエール・ロティ(著)

氷島の漁夫
Naguissa Aubry EI
発売日:Kindle版

19世紀後半のフランス文学作品

ブルターニュの寒村プルバラネック。腕利きの漁夫・ヤンはそこに住んでいた。この村では、男たちは毎年、命をかけてアイスランド近海へ遠洋漁業に出かける。令嬢・ゴードに好意を寄せるヤンは、片意地からゴードにつれなくしてしまうが!?・・

 

「刺青・秘密」 谷崎 潤一郎(著)

刺青・秘密
新潮社
発売日:1969/8/5

日本の耽美主義の小説家

作者唯一の告白書で懺悔録である自伝小説「異端者の悲しみ」など、初期の短編全7編

性的倒錯の世界を描き、美しいものに征服される喜び、作者独自の美の世界を描いた処女作ー「刺青」。究極の美女に土下座し、踏みにじられたい。谷崎が描くエロティシズムの極み。

 

「あめりか物語」 永井 荷風(著)

あめりか物語
岩波書店
発売日:2002/11/15

荷風が渡米した時の旅行記ともいえる傑作短篇集

明治41年、発表と同時に大きな話題となった、荷風の名を有名にした処女作

移民として、会社員、留学生として暮らした日本人を中心に、当時のアメリカ社会の断面が描き出されるーー

 

「歌行燈・高野聖」 泉 鏡花(著)

歌行燈・高野聖
新潮社
発売日:1950/8/15

幻想的で耽美的な作品

幽谷に非現実境を展開する「高野聖」他、浪漫の名作「歌行燈」「女客」「国貞えがく」「売色鴨南蛮」収録

飛騨天生(あもう)峠、高野の旅僧は、道に迷った薬売りを救おうと後を追う。

蛇や山蛭の棲む山路を切り抜け辿りついた峠の孤家(ひとつや)で、僧は妖艶な美女にもてなされるが!?・・ 彼女は、男を畜生に変えてしまう妖怪であった・・

 

「花ざかりの森・憂国」 三島 由紀夫(著)

花ざかりの森・憂国
新潮社
発売日:2020/10/28

戦後日本文学における最高の耽美主義(たんびしゅぎ)作家のひとり

16歳の実質的デビュー作「花ざかりの森」など13編

二・二六事件で逆賊と断じられた親友を討たねばならぬ懊悩(おうのう)に、武山中尉は、自刃を決意する。夫の覚悟に添う夫人との濃厚極まる情交と壮絶な最期を描く、エロスと死の真骨頂「憂国」。

 

【デカダンス文学】代表的作品

「さかしま」 J.K. ユイスマンス(著)

さかしま
河出書房新社
発売日:2010/8/3

デカダンス文学の頂点と言われる作品

デカダンスの「聖書」と三島由紀夫が言ったという幻の名作

主人公、デ・ゼッサントは、ひとつの部屋に閉じこもり、自らの趣味の小宇宙を築き上げる。その数奇な生涯とは!?・・

 

「ヴェルレーヌ詩集」 ヴェルレーヌ(著)

ヴェルレーヌ詩集
新潮社
発売日:1950/11/28

デカダンス(退廃的・虚無的な美を追求した芸術思潮)の詩人・ヴェルレーヌ

独特の音楽的手法を駆使した斬新な詩的世界を確立した作品

第一詩集「土星の子の歌」や「やさしい歌」、「艶かしきうたげ」「無言の恋歌」などを収録。

 

「青年の告白」 ジョージ・ムーア(著)

青年の告白
岩波書店
発売日:1939/10/5

19世紀末のイギリス(ヴィクトリア朝後期)のデカダンス(頽廃主義)文学

若き文学的ボヘミアンが芸術に苦しんだ告白ーー

パリの客舎でデカダンス芸術の修行をした青年時代の精神生活史を描いた自伝小説

 

「堕落論」 坂口 安吾(著)

堕落論
集英社
発売日:1990/11/20

無頼と反逆に生きた著者の代表的作品9編

生きよ、堕ちよ。堕ちること以外の中に人間を救う道はないーー

救われない孤独の中に、常に精神の自由を見出し、戦後の思想と文学のヒーローとなった著者の代表的作品群。

 

「人間失格」 太宰 治(著)

人間失格
新潮社
発売日:2006/1/1

デカダン派(退廃派)は、戦後に活躍した「無頼派」作家を指す

太宰治、捨て身の問題作

「恥の多い生涯を送って来ました」。そんな告白から男の手記は始まる。自分を偽り、ひとを欺き、過ちを犯す。「失格」の判定を自らに下す。しかし、ある女性は語る。「とても素直で、よく気がきいて(中略)神様みたいないい子でした」と。

 

「焼跡のイエス・善財」 石川 淳(著)

焼跡のイエス・善財
講談社
発売日:2006/11/11

戦後の無頼派文学を代表する作家の6篇

戦後無頼派と称された石川淳の超俗的な美学が結晶した代表作

敗戦直後、上野のガード下の闇市で、主人公の「わたし」が、浮浪児がキリストに変身する一瞬を目にする「焼跡のイエス」。少女の身に聖なる刻印が現われる「処女懐胎」など、戦前、戦中、そして戦後へーー

 

「夫婦善哉」 織田 作之助(著)

夫婦善哉
新潮社
発売日:2016/8/27

織田作之助の小説7篇を所収

阿呆らしいほどの修羅場を読むうちに、いとおしさと夫婦の可笑しみが心に沁みる傑作等ー

ダメ亭主・柳吉に尽くす女房・蝶子。惚れた弱みか腐れ縁か。浮気者の柳吉は、転々と商売を替え、蝶子が貯めた金を娼妓につぎ込んでしまい!?・・「夫婦善哉」。新発見された「続 夫婦善哉」では舞台を別府へ移し、夫婦の絶妙の機微を描いていくが!?・・