メタフィクション(メタリアルフィクション)の代表的な作品をまとめています。
古典の名作から、近年の作品、メタミステリーの小説などを掲載しています。
小説の文学形式(手法)としても欠かせないメタ構造の作品群です。
メタフィクションとは!?
メタ・フィクションとは、作品自体が「これは作り物(フィクション)である」という性質を読者に意識させる、自己言及的な物語表現手法を言います。
1970年代、アメリカの作家・批評家のウィリアム・H・ギャスが論文で用いたことで定着しました。
フィクション(作り話)についてのフィクション、小説の中の小説、作中作の形式をとります。
作家や編者が物語の語り手として現れる「作者・編者の登場(例:セルバンテス(著)「ドン・キホーテ」)」や、物語の中に別の物語(小説など)が登場する「フィクション内のフィクション(例:フィリップ・K・ディック(著)「高い城の男」)」」の特徴があります。
メタ・フィクション小説
「ドン・キホーテ」 M. de セルバンテス(著)
近代小説の先駆けで「近代小説の祖」とも言われるセルバンテスの名作(新訳、全6冊)
スペイン文学の傑作「ドン・キホーテ」は、スペインでは一家に一冊あると言われています。また、騎士道物語のパロディとも言われるドン・キホーテは、多くのメタフィクションが導入されています。
「トリストラム・シャンディ」 ロレンス・スターン(著)
プルーストやジェイムズ・ジョイス、ヴァージニア・ウルフ等の「意識の流れ派」の源流で先駆的作品
内容、形式ともに奇抜で、脱線に次ぐ脱線、独特の文体で目まぐるしく移り変わるハイパーテキストの先駆け。
夏目漱石も読んでいた奇書とも言われています。
「冬の夜ひとりの旅人が」 イタロ・カルヴィーノ(著)
メタフィクション小説の傑作
文学の魔術師による究極の〈読書〉小説
様々な文体を駆使したメタフィクションの手法を用いたメタの極北。物語が物語を誘発する。めくるめく世界。実験小説の代表のような作品。
「わが名はジョナサン・スクリブナー」 クロード・ホートン(著)
1930年に書かれた、知られざるメタ・フィクションの傑作
ジョナサン・スクリブナーとは誰なのか!? 何をもくろんでいるのか!?・・
事務の仕事をしながら孤独な生活を送っていたジェイムズ・レクサムは、ある時、裕福な紳士の秘書になる。それが不思議な冒険のはじまりだったーー
「完全な真空」 スタニスワフ・レム (著)
16冊の架空の書籍に対する書評集
誇大妄想的宇宙論から、ヌーヴォーロマンのパロディ評まで..
「ポスト・ボルヘス的書物」とカート・ヴォネガットの絶讃を浴びた異色の作品集。
「伝奇集」 J.L. ボルヘス(著)
「バベルの図書館」ー 宇宙の隠喩である図書館の物語(書物の迷宮というメタ的構造が特徴)
夢と現実の入り混じる迷宮の世界を描く、現代文学の最先端に位置するボルヘスの作品。
「遊戯の終わり」 コルタサル(著)
「続いている公園」ー 肘掛け椅子に座って小説を読みふける男が、ナイフを手にした小説中のもうひとりの男に背後を襲われる・・
南米の作家・コルタサルのメタフィクション(作り話についての作り話)
「集英社ギャラリー世界の文学(18)・アメリカ3」 ジョン・バース他..(著)
「酔いどれ草の仲買人」ー ポストモダン作家、ジョン・バースの歴史冒険小説
17世紀のイギリスとアメリカ東海岸メリーランド植民地が舞台
「V.」 トマス・ピンチョン(著)小山 太一(翻訳)
ウィリアム・フォークナー賞受賞
1963年、25歳で出版したトマス・ピンチョンのデビュー作
父親の日記の記述で発見した謎の存在「V.」その謎を探求する息子ハーバート・ステンシル。ニューヨークでワニ狩りをすることになったベニー・プロフェイン。2人は出会い、運命の地へ吸い寄せられるが!?・・ V.とは誰か!? V.とはいったい何なのか!?・・
「きみを夢みて」 スティーヴ・エリクソン(著)
2012年「ロサンジェルス・タイムズ」紙【最優秀作品賞】受賞作
ポストモダン作家、スティーブ・エリクソンの最新作(初訳)
「小説内小説」とポップ・ミュージックが絡む独自の世界が全開
作家のザンと、妻のヴィヴは、エチオピアの少女・シバ(ゼマ)を養子にする。少女の母親を探す旅に出るヴィヴ。作家の自伝的体験、人種問題、アメリカの歴史が交錯し!?・・
「幻影の書」 ポール・オースター(著)
メタ・テクストの手法を使った物語を巡る物語
ポールオースターの作品は、ニューヨーク3部作「ガラスの街」「幽霊たち」「鍵のかかった部屋」などでも、メタ・フィクションの手法が使われています。
その男は死んでいたはずだったーー
監督で俳優のへクター・マンは、何十年も前、映画界から忽然と姿を消した。その妻からの手紙に「私」はとまどう。へクターは生きているのか。彼が消し去ろうとしている作品とは!?・・
「話の終わり」 リディア・デイヴィス(著)
ポール・オースターの元妻、リディア・デイヴィスの代表作
語り手の〈私〉は、かつての恋愛の一部始終を再現しようと試みる。12歳年下の恋人と別れ何年も経っているが、交際していた時期の出来事を記憶の中から掘り起こす。しかし、記憶はぼやけ、歪み、欠落し、捏造される・・
「消失」 パーシヴァル・エヴェレット(著)
「ジェイムズ」で、全米図書賞&ピュリツァー賞のW受賞で2025年話題になった作家の作品
2024年アカデミー賞脚色賞を受賞した映画『アメリカン・フィクション』原作小説
アフリカ系アメリカ人で、大学で教鞭をとりながら小説家として文学的な作品を書いているセロニアス・エリスン(通称モンク)。彼の目からみると、黒人を売りにしたレベルの低い作品が世間ではベストセラーとなっていた。その後、教授昇進が決まったことを知るが、小説は17社から出版を断られていた。理由は「黒人らしさが足りない」とのことで!?・・
「高い城の男」 フィリップ・K・ディック(著)
[1963年度] ヒューゴー賞受賞の最高傑作
形而上学・哲学的な思索やメタフィクション
第二次大戦の勝敗が逆転した世界。1962年、アメリカは東部をナチス・ドイツに、西部を大日本帝国に支配されていた。ナチス・ドイツと日本に分割統治されたアメリカ。現実と虚構が絶妙なバランスで描かれた1冊。
「チャンピオンたちの朝食」 カート・ヴォネガット. Jr(著)
不思議な魅力をもたらす、涙と笑いの傑作長篇
不遇の生活を送るSF作家、キルゴア・トラウト。彼のもとに、ある日、ミッドランド・シティでのアート・フェスティバルの招待状が届く。トラウトは、その地で人生の一大転機をむかえることに!?・・
「デス博士の島その他の物語」 ジーン・ウルフ(著)
メタ構造(入れ子構造、語り手の信頼性問題など)が特徴のSF・ファンタジー
「博士」「死」「島」をテーマにした精緻な語り口の中短編集。読者に深い考察を促す1冊。
「グールド魚類画帖」 リチャード・フラナガン(著)
英連邦作家賞 受賞作
画家・グールドを主人公に据えた歴史・伝記・メタフィクション
19世紀、英国の流刑植民地・タスマニア。画家グールドは、島の外科医殺害の罪で絞首刑を宣告され、獄中で魚の絵を描く。その衝撃の最期とは!?・・
「HHhH(プラハ、1942年)」 ローラン・ビネ(著)
[2010年] ゴンクール賞(仏)【最優秀新人賞】受賞作
2014年(第11回)本屋大賞【翻訳小説部門】受賞作
歴史記述的メタフィクション
ナチス第3の男「金髪の野獣」と呼ばれ、ナチス・ドイツのユダヤ人大量虐殺(ホロコースト)の責任者だったラインハルト・ハイドリヒと彼の暗殺者である2人の青年を扱った歴史小説。
本書にも記載どおり、実験的な試みを行なった小説としての構成も面白い作品です。フィクションとノンフィクションを織り交ぜた文学的な1冊。
「雲(CLOUD)」 エリック・マコーマック(著)
小説についての小説でもある奇想天外なストーリー
スコットランド作家の幻想的で一風変わった小説。
旅先で見つけた1冊の古書。「黒曜石雲」という本には、19世紀スコットランドで起きた謎の気象現象が書かれていた。グラスゴーのスラムで生まれた主人公の人生が回想されていく・・
「ジュリアン・バトラーの真実の生涯」 川本直(著)
第73回 読売文学賞(小説賞)受賞作
第2回(2022年)みんなのつぶやき文学賞 第1位
壮大なメタフィクション小説
ジュリアン・バトラーという架空の小説家。その謎の生涯とは!?--
20世紀のアメリカ文学史をカポーティ、トルーマンなど実在の人物と史実を絡めた傑作。また、小説家志望の方などにもおすすめといえる1冊。
「構造素子」 樋口 恭介(著)
第5回(2017年)ハヤカワSFコンテスト大賞 受賞作
SF作家になりきれなかった男の未完の草稿にして、現代SF100年の類い稀なる総括
エドガーは、売れないSF作家だった父・ダニエルの死後、母から未完の草稿を渡される。その物語内で、人工意識「エドガー001」を構築した。草稿を読むエドガーも、父・ダニエルとの思い出を重ね書きしていくーー
「ディスクロニアの鳩時計」 海猫沢 めろん(著)
メタリアルフィクションの極北
SFにして変格ミステリ、思弁小説にして青春文学ーー
ノベルゲーム、加速器、機械知性、脳科学、最先端AIなど、あらゆるギミックを詰め込んだ現代の千夜一夜物語
拡張現実〈カクリヨ〉と人工知能に覆いつくされた近未来の日本。17歳の少年・白鳥鳥彦は、不思議な少女・時彫幽々夏と出会う。彼女は、時間に関するあらゆる事物を収集する謎の大富豪〈時彫家〉の令嬢だった。その瞳を覗き込んだ瞬間、鳥彦は、激しい殺人衝動に貫かれ!?・・
「三人書房」 柳川 一(著)
第18回 ミステリーズ!新人賞 受賞作
若き日の「平井太郎=江戸川乱歩」を通して描く連作推理
大正8年(1919年)東京・本郷区駒込団子坂。《三人書房》という古書店を開いた平井太郎。店には、同年に亡くなった女優・松井須磨子の遺書らしい手紙をはじめ、奇妙な謎が次々と持ち込まれる。同時代を生きた、宮沢賢治や宮武外骨、高村光太郎たちとの交流と不可解な事件の顛末とは!?・・
メタ・ミステリー
「幻想と怪奇 不思議な本棚 ショートショート・カーニヴァル」牧原 勝志(幻想と怪奇編集室)(編集)
メタ・フィクションの傑作
「ポケミス読者よ信ずるなかれ」 ダン・マクドーマン(著)
メタフィクションの手法を使い、読者に語りかける実験的な作品
読者を待ち受けるものは困惑か!?狂喜か!?
嵐で、陸の孤島になった会員制クラブ。私立探偵、密室殺人、古今東西のミステリからの引用。本格ミステリの舞台として完璧かと思われたが!?・・
「ボストン図書館と推理作家」 サラーリ・ジェンティル(著)
図書館を舞台にしたメタミステリ
ボストン公共図書館での殺人事件を描く作中作
アメリカ最古の公共図書館、ボストン公共図書館。そこで起きる4人の男女の殺人事件を追う推理小説を執筆するハンナ。しかし、作中登場する作家志望のレオが暴走し!?・・
「二流小説家」 デイヴィッド・ゴードン(著)
このミステリがすごい!2012年版【海外篇】第1位
ハヤカワ「ミステリが読みたい!2012年版」第1位
メタ・スリラー
しがない小説家のハリーは、女性4人を殺害し、死刑判決を受けたダリアン・クレイから手紙を受け取る。事件の全貌を語る本の執筆を依頼してきた。。殺人鬼の告白本となればベストセラー間違いなしだが、刑務所の面会でハリーは、思いもしない条件を突きつけられ!ー
「本好きに捧げる英国ミステリ傑作選」 クリスチアナ・ブランド他(著)
本にまつわる謎、謎、謎の16編(メタミステリー)
名探偵×消えた本、作家×犯人当て、詩×暗号
現代英国を代表するミステリ作家、マーティン・エドワーズが巨匠たちの名品から「本」をテーマに精選した傑作ビブリオミステリー
「カササギ殺人事件」 アンソニー・ホロヴィッツ(著)
第16回(2019年)本屋大賞【翻訳小説部門】受賞作
作中にミステリ作家が登場し、ミステリ小説が語られるという二重構造のミステリ小説。
「このミステリーがすごい!2019年版」「ミステリが読みたい!2019年版」「週刊文春ミステリーベスト10 2018」「2019本格ミステリ・ベスト10」など、各種ミステリランキングで第1位を独占し、5冠を達成した人気文庫本
続編の「マーブル館殺人事件」や「メインテーマは殺人」などもメタミステリ
「誰がスティーヴィ・クライを造ったのか?」 マイクル・ビショップ(著)
ネビュラ賞作家による異形のメタ・ホラー・エンターテインメント
アメリカ南部・ジョージアの小さな町に住むスティーヴィ・クライ。彼は、2人の子供を養うため、フリーランスライターとして生計をたてていた。ある日、愛用の電動タイプライターが故障し、修理から戻ってくると、ひとりでに文章を打ち始めた。妄想か!? 現実か!?・・
「ロートレック荘事件」 筒井 康隆(著)
前人未到のメタ・ミステリー
2度読んで納得の、史上初のトリックで読者を迷宮へ誘う。
郊外の洋館で、次々に美女が殺される!?・・
「鈍色幻視行」 恩田 陸(著)
このミステリがすごい!2024年版【国内篇】第9位
本格メタミステリ・ロマン
小説家の蕗谷梢は、夫の雅春と共にクルーズ旅行に参加する。そこには、呪われた小説と言われる「夜果つるところ」の関係者が一堂に会している。船上では、漫画家ユニット、映画プロデューサーなどが、取材に応える。そして新事実や新解釈が出てくるが!?・・
































