ヌーヴォー・ロマンの代表的な作家の作品をまとめています。
「意識のながれの叙述」や「2人称小説」など、様々な技法が使われた文学の潮流。
そんな、フランス文学の実験的な前衛作品を掲載しています。
ヌーヴォー・ロマンとは!?
ヌーヴォー・ロマンとは、1950年代以降のフランスで興った前衛的な小説の潮流(ムーブメント)で、従来の小説の概念を解体した作品群です。
前衛的な小説作品を形容した呼称で、アンチ・ロマンと呼ばれることもあります。
似たような響きに、「ロマン主義文学」がありますが、ヌーヴォー・ロマンとは別で、関連性はありません。
前衛・実験文学の潮流で、アメリカの《ポスト・モダン文学のフランス版》とも言えそうです。
ヌーヴォー・ロマン期の作家
クロード・シモン
「綱渡り」 クロード・シモン(著)
世界文学最初の〈ヌーヴォー・ロマン〉作品(初訳)
文学の前衛運動をいち早く先取りした私小説を想起させる自伝的小説。
ノーベル文学賞作家、クロード・シモンの2冊目の小説の全訳。ロブ゠グリエの最初の小説よりも2年も早く執筆された作品。
アラン ロブ=グリエ
「消しゴム」 アラン ロブ=グリエ(著)
ヌーヴォー・ロマンの代表作として知られるロブ=グリエの作品
捜査官・ヴァラスは、殺人事件発生の報せを受け、運河の街にやってくる。しかし、遺体も犯人も見つからず、右往左往する始末。関係者たちの思惑は、宿命的結末を招いてしまい!?・・
ナタリー・サロート
「子供時代」 ナタリー・サロート(著)
43年ぶりに邦訳刊行された作家、円熟期の実験作
ヌーヴォー・ロマン作家、ナタリー・サロートが到達した、まったく新しい「反自伝小説」。対話で始まる言葉とイマージュと記憶の物語。
ミシェル・ビュトール
「心変わり」 ミシェル・ビュトール (著)
(仏)ルノードー賞 受賞作
1950年代、フランス文壇に2人称の語りで登場した作品
ローマに住む愛人と離婚し、パリで同棲しようと申し出るため、「きみ」は早朝の列車に乗り込む。ローマの遺跡群をはじめ、様々な楽しい期待や思い出が、車中の「きみ」に浮ぶ。しかし、旅の疲労とともに、決意は暗く変わり・・
マルグリット・デュラス
「愛人 ラマン」 マルグリット・デュラス(著)
(仏)ゴンクール賞 受賞作
今世紀最大の女流作家とも言われる著者の世界的ベストセラー
仏領インドシナを舞台に、15歳の時の、中国人青年との最初の性愛経験を語った自伝的作品。
アンドレ・ジッド
「贋金つくり」 アンドレ・ジッド(著)
ノーベル文学賞作家の「純粋小説」
アンドレ・ジッドが提唱した「純粋小説」という概念ーー
ヌーヴォー・ロマンの先駆けとも言われている作品。
小説本来の要素に的を絞り、それ以外の要素を排除した小説。単線的なプロットを廃し、章ごとに異なる登場人物の視点。
ジャン・リカルドゥー
「小説のテクスト:ヌ-ヴォー・ロマンの理論のために」 ジャン・リカルドゥー(著)
フィリップ・ソレルス
「公園」 フィリップ・ソレルス(著)
実験性を盛り込んだ作品
1960年代後期以降に、ヌーボー・ロマンを批判的に発展させた活動を継承した作家
サミュエル・ベケット(アイルランド作家)
「モロイ」 サミュエル・ベケット(著)
ヌーヴォー・ロマンの先駆的役割を果たした記念碑的 前衛小説
文学史に衝撃を与えた小説3部作の第1部
意識が崩壊寸前で、自分の名前も思い出せないモロイ。モロイの調査を命じられたモランにも同じ運命が!?・・ アイルランドのノーベル文学賞作家ベケットもヌーヴォー・ロマンの先駆者と言われることがあります。