モダンポスト小説10選(アメリカ作家以外)|前衛文学のメタフィクション、実験的な作品など

アメリカ以外のポストモダン小説を掲載しています。

前衛的で、メタ構造を多用し、風刺、実験的などの特徴があるポスト・モダン文学。

そんな、モダンポスト小説の中から、アメリカ(米国)以外の作家の作品をまとめています。

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ポストモダン作家の作品【アメリカ作家以外】

ステファン・テメルソン(ポーランド作家)

「缶詰サーディンの謎」 ステファン・テメルソン(著)

缶詰サーディンの謎
国書刊行会
発売日:2024/9/6

チェスタトン × ウィトゲンシュタイン ÷ ゴンブローヴィチ = テメルソン

ポーランドの前衛作家による奇妙奇天烈な哲学ノヴェル

イングランド~マヨルカ島~ポーランドを舞台に、哲学・歴史・政治・数学・言語をめぐる異常な考察が展開、奇想と脱線に満ちた枝分かれするストーリー。

炸裂する黒いプードル爆弾、2人のダンシング・ガールズ、天才少年の秘められた数式ノート、そして缶詰サーディンの謎・・

 

ミロラド・パヴィッチ(セルビアの作家)

「ハザール事典」 ミロラド・パヴィチ(著)

ハザール事典
東京創元社
発売日:2015/11/28

東欧ポストモダンの旗手の遊戯性と実験性に満ちた傑作

「男性版」と「女性版」の2冊に別れている実験的小説

かつて実在したハザール人に関する事典という体裁をとった物語。この謎の民族に関する古書の新版の形をとった前代未聞の形式。ハザール人に関する伝説を、キリスト教、イスラム教、ユダヤ教の視点から描いた3つの事典と、宗教関係別に編まれた45項目。

 

ダニイル・ハルムス(ソ連の作家)

「言語機械 ハルムス選集」 ダニイル・ハルムス(著)

言語機械・ハルムス選集
未知谷
発売日:2019/7/27

ロシア・ポストモダン文学の先駆け

20世紀ロシア文学最大の奇才、前衛文学・芸術グループ「オベリウ」を率いロシア・アヴァンギャルドの最後の光芒

ソ連当局検閲強化の下、地下出版で読み継がれた1冊。ハルムス作品の全容、新訳。

 

トンマーゾ・ピンチョ(イタリア作家)

「ぼくがエイリアンだったころ」 トンマーゾ・ピンチョ(著)

ぼくがエイリアンだったころ
ノーブランド品
発売日:2025/4/25

イタリアのポストモダン文学の奇才、トンマーゾ・ピンチョの代表作

ペンネームからして、アメリカの覆面作家、トマス・ピンチョンをもじっていることがわかります。作品名も「m.」など、トマス・ピンチョンやフィリップ・K・ディックをパクりつつ。20年間寝ていない男が主人公。

 

イタロ・カルヴィーノ(イタリア作家)

「冬の夜ひとりの旅人が」 イタロ・カルヴィーノ(著)

冬の夜ひとりの旅人が
白水社
発売日:2016/10/6

文学の魔術師による究極の〈読書〉小説

様々な文体を駆使したメタフィクションの手法を用いたメタの極北。物語が物語を誘発する。めくるめく世界。実験小説の代表のような作品。

 

ジュリアン・バーンズ(イングランド作家)

「イングランド・イングランド」 ジュリアン・バーンズ(著)

イングランド・イングランド
東京創元社
発売日:2021/5/19

ブッカー賞作家の風刺に満ちた傑作

小さな島・ワイト島をイングランドのレプリカにするという、ひとりの富豪が思いついたテーマパーク・イングランド。そこには、王室、ハロッズ、2階建てバス、ロビン・フッドなど、イングランドの全てが揃っていた。名付けてイングランド・イングランド。レプリカは本物を凌駕する!?・・

 

アラスター・グレイ(スコットランド作家)

「ラナーク―四巻からなる伝記」 アラスター・グレイ(著)

ラナーク―四巻からなる伝記
国書刊行会
発売日:2007/11/1

スコットランド文学の奇才、モダンポストの技法を継続した最高傑作

2024年「哀れなるものたち」の映画化で話題になった原作の作家です。

第3巻から始まり、1、2巻と進み、4巻になるという構成

30年近い年月をかけ、完成させた小説だと言われています。

ミステリ・ファンタジー・SF・文芸批評・メタフィクションなどの形式が混じった叙事詩

退廃の都市アンサンクをさまよう記憶を持たないラナークは、奇怪な施設に収容され、陰謀の渦巻く大騒動に巻き込まれるが!?・・

 

ジュノ・ディアス(ドミニカ作家)

「オスカー・ワオの短く凄まじい人生」 ジュノ・ディアス(著)

ピュリツァー賞・全米批評家協会賞 ダブル受賞

オタク青春小説とラテンアメリカ文学のマジック・リアリズムの融合

オタク青年のオスカーは、ファンタジー小説やロールプレイング・ゲームに夢中。最大の悩みは、女の子にまったくモテないことだった。 息子の行く末を心配した母親は、彼を祖国・ドミニカへ送り込む。彼は、自分の一族が「フク」と呼ばれるカリブの呪いに囚われていることを知る。 ドミニカの独裁者・トゥルヒーリョの政権下で虐殺された祖父ら一族は、それぞれにフクをめぐる物語があり!?・・

 

フリオ・コルタサル(アルゼンチン作家)

「石蹴り遊び」 フリオ・コルタサル(著)

石蹴り遊び
集英社
発売日:1984/6/1

マジックリアリズムの先駆者としても知られるコルタサルの作品

アルゼンチンの青年・オリベイラは、パリで娼婦と恋に落ち、暮らし始める。しかし、女は、こつ然と姿を消したーー 失踪した女の幻影を追い、苦悩する男の魂の彷徨い。

 

プラープダー・ユン(タイ作家)

「鏡の中を数える」 プラープダー・ユン(著)

鏡の中を数える
タイフーン・ブックス・ジャパン
発売日:2007/5/1

タイ・ポストモダンのカリスマの短編集

東南アジア文学賞(タイの最も権威ある文学賞)受賞作含む12編

実験的アイディアとタイ語の言葉遊びが散りばめられた作品群。読者に不思議な読後感をもたらす秀作です。